育児日記

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第15回 産院は日本の母を育てる。

ただ、時にはやっぱり人の言うことを聞けない親もいるわけで。
産前に読んだ唯一の育児書が、
内田春菊さんの漫画(新産婦必読の書・『私たちは繁殖している』ぶんか社)
のみだった私は、「新生児は三時間おきにミルクを飲む」という、
半ば常識的なことを知らないままでいた。

そういうわけで産んで初日。
私は助産婦さんの指示でK二シロップと砂糖水を産まれたばかりの赤ちゃんに
もらった後、ミルクの入れ方を教わったのだが、
なぜか。「ミルクも指示通りに与えねばならん」と思い込み、
恐ろしいことに助産婦さんの指示が来るまで一晩、ミルクを与えなかったのだ。
うちの赤ちゃん、絶体絶命の危機である……。

そんなわけで赤ちゃんは、「オギャー!」と泣くや否や、
「おっぱいよこせ、おっぱい!」とアピールしてきたのだが、
先ほど産んだばかりの母親である私は、何を勘違いしたのか、判断を誤った。
「おっと。コイツが噂に聞く、『夜泣き』ってヤツだな……?
ホーラ、大丈夫だよ~♥ こわくないよ~」
赤ちゃん「おぎゃあ!?」。 
私「ど~れどれどれ、オムツかなー?」。
赤ちゃん「おぎゃあ♥おぎゃあ♥(違うって♥おっぱいだって!)」。
私「う~んオムツじゃないなあ。よーし、高い高ーい!」。
赤ちゃん「おぎゃあ!? おぎゃおぎゃ!
(そうじゃないって! おっぱいちょうだいよ!)」。
私「おやおや。コレも違うな。あ、ひょっとして、おっぱいかあ~!」。
赤ちゃん「おぎゃー。(そう! そうだって! 早くオッパイ!)」。
おっぱいを赤ちゃんにくわえさせてみる私。
数秒後、「おっぎゃーーーー!(全然、出ねー!!!!)」。

そんなこんなで、「夜泣きって大変だな」と思った私は翌朝、
助産婦さんに昨晩のことを告げた。すると助産婦さんは慌ててこう言った。
「産んですぐおっぱい出る人なんてそう、いないんですよ!?
早くミルクあげなきゃ、脱水症状起こしちゃいますよ!」。
(エエーッ聞いてないよー!?)

そんなわけで、慌ててミルクを作ってくわえさせると、
すごい勢いで食らいついて、がぶ飲みし始めた。
よほど、お腹が空いていたのだろう。

産まれて、その初日に飢えることを知ってしまった我が子は。
妙に食いつきのいい子供になってしまった…。
世の中にはお母さんのおっぱいを吸わないで困る赤ちゃんもいるというのに、
やはり早期教育というのは大切なことだ。
命がかかってくるとそうは言ってられないのだ。

そしてどれくらい食いつきがいいかというと、
「がぶっちゅーちゅーちゅー」と音が聞こえる位である。
恐ろしいことに、新生児のくせにおっぱいにかみついてくる力がすごすぎて、
私は出ないおっぱいをかまれ、かさぶたを作ってしまった。
三日後。おっぱいにできたかさぶたをはがしてみると、
なんと下から、母乳が噴き出したのだ……。本当の話である。

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