育児日記

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第30回 うちのバッチャは破天荒。

バッチャ…。それは救いの手。バッチャは我が家の救世主である。
私が嫁いで早二年。この家に来てからというもの、
私は嫁ぎ先のおばあちゃん・通称「バッチャ」の助けなしでは、
家事に仕事に育児など、全部こなせやしないよ、絶対に。
などという、槇原敬之の「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対~」
みたいな倒置法を使って表現するほど、バッチャに感謝して暮らしている。
というより、バッチャがいないと、実質今の暮らしは成り立たないので。
我が家の場合、家族全員が健やかに暮らしていけるのは、
すべてバッチャのおかげなのだ。

だって、考えてもみて下さいよ。おいしいご飯を作らなくても、
朝の八時に食べられるのだ。
これだけでも一人暮らしの男性諸君や専業主婦の皆さんからは
羨望のまなざしで見られること間違いなしなのだが。
しかもバッチャは一週間のうち、週五回は晩ご飯も作ってくれるし、
育児も手伝ってくれる。
更にバッチャは畑に裁縫、干物作りなど、
とにかくすごい数の仕事をこなす『スーパー・バッチャ』なわけなのだが。
バッチャは一言で表すと、破天荒な人である…。

バッチャは恐らく、自分が八十近いということに、気付いていない…。
十代の気分のまま、七十代まで来てしまった人なのだ。

先日、家に帰るとバッチャが流し台の上に上がって、棒を振り回していた。
「おバッチャ!」。
慌てて駆け寄るとバッチャは、
「蜘蛛の巣よぅ、外さ張ってたはんで今、取ってらんだ?」。
と、平気な顔して答えてたのだが。
流し台に上がっているバッチャを見たのはこれが何度目だか分からない。
アミド替え・窓ふき・蜘蛛の巣取り。
バッチャはためらわずに流しに上がる。
お年よりは高いところに上らないと思ってる皆様。
うちのバッチャは流しに上ります。
「危ないからよして!」って言ってるのですが。
バッチャ、気持ちは十代だから。
しかも体がそれについてってるから。
『天を破るほど荒い性格』……それがうちのバッチャなのだ。
破天荒ってよく考えたら、すごい言葉だなあ…。

そんなバッチャのセリフには、破天荒な生き様が各所にあふれている。
子どもが泣いて泣いて泣きやまないと、
育てる方が泣きたくなって気が荒れるのだが。
そういう時にバッチャはニカリと笑って一言いうのだ。
「泣ーいて死んだーぁ、人はいない! ハハハハ!」と。

本当に、天を破るほど明快に言い放ったりするのである。
乳児湿疹が出たときも、ベビーソープを使わず、
刺激の強すぎる薬用石けんで子どもの顔を腫らさせてしまった私はどんよりして、
「もっと早くに気付けばよかったです…」と、
悲しく漏らしたところ、破天荒なバッチャは言った。
「誰も、最初から校長先生でね(ない)の!最初はみんな、先生だの!」と。
天を破るほどバッチャの答えは、バッと救っていくのである。

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