[うちのバッチャ2] 06.木を植える人

木を植える人
 
風は涼しく、日射しは暖かい。植樹をするにはちょうどいい季節がやってきましたね。
この季節になるとホームセンターでは、苗を求める人達でいっぱいになります。
「今年はどんな木を植えようかしら。やっぱり実のなる木がいいかしら、花のなる木がいいかしら」
まるで若い娘さんが初夏の服を選ぶように、おばあちゃん達は毎年、庭に植える木を選ぶのです。
「ツツジだばピンクと白、どっちがいいべか?」
「おめんとこ(あなたの所)の庭だば、ピンクがいいんでねなあ! 松あるし、少しパッとさせた方がいいんた(いいような)気がするや!」
こういったおばあちゃん同士の会話を聞いていると、
「水玉とボーダーだったら、どっちが似合うと思う?」
「そうねえ。ボーダーだと普通すぎるし、水玉だと甘くなりすぎちゃうから、水玉にデニムを合わせて甘さを抑えちゃえば?」
なんて風に相談し合って服を選ぶお嬢さん方と大して変わらない気がしてくるのです。ツツジの甘さを松の渋さで抑える上級テクニックで、お庭のセンスアップは間違いなしです。
ちなみに、私が1番好きな木は藤の木で、2番目に好きな木が松なんですね。藤の木は花が咲く日のことを思って、1年中楽しみにしていられるのが良いのです。5月の暖かい日に一斉に花ほころぶのもいいし、花が終わった後にジャングルのように繁った葉っぱの下に潜って、涼むのも趣があります。
松は枝ぶりを見るのが好きです。見事な松を見かけると、しばらくは眺めていられます。
植木にはロマンがあるんですね。子どもが生まれる度に庭に記念樹を植えて、子どもの成長とともに大きくなるその木を眺めていると、木が、まるで自分の子どものように思えてきます。長男の時に植えた桜は7年目に青々と繁り、次男が生まれた時のエゴノキはまだ3年目で、可愛らしく小さな白い花をつけています。
3年前、うちの庭に「木を植えさせて下さい」という人がやって来ました。その人の名前は中溪宏一さん。歩きながら木を植える、アースウォーカーという仕事をされていました。
アースウォーカーは、北海道から沖縄までの距離を自分の足で歩き、木の苗を日本中に植えていきます。木を植える人達の姿を見て、言葉でなしにその魅力に惹かれ、見た人の何かが鼓舞され、中溪さん達は歩く支援をしてもらったそうです。
中溪さんは、何も持っていなくても、応援したくなる青年でした。ある時、中溪さん達が秋田県を歩いていると、おばあさんに突然声をかけられました。
「格好いいものをやるから、うちに来てくれ!」
そして中溪さん達がそのおばあさんの家に行くと、丼になみなみと注がれた牛乳を出されたそうです。丼いっぱいの牛乳……! なんて格好いいのでしょう。おばあさんの魂の高鳴りを感じます。彼らに出会った人達はきっと今年も、庭に木を植えるのでしょう。

 

ついに出た! 青森県最強バッチャとドジな嫁が繰り広げるぶっ飛びエッセイ☆ 

マンガも6ページに増量

『うちのバッチャ2
 -88歳快進撃-』
 
山田スイッチ 著
山田スイッチ社 刊
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