エコハンター第58回 「ようこそ。種の世界へ」

エコハンター第58回 「ようこそ。種の世界へ」

 

「20年ほど前に、自分だけのニンジンを生み出そうと思って、五寸ニンジンの種子を初めて採りました。

最初は、自分で採ったニンジンの種子をまいて育てて、

ほんとうにニンジンを収穫するところまでいくのだろうかと、たいへん不安でした。

自分で採った種子なのに、自信がなくて、ほんの一、二列しか種子をまくことができませんでした。」

これは、長崎県吾妻町で農業を営む岩崎政利さんがご著書の中で語られた言葉です。

「それほどまでに、わたしたち生産者にとって、種子は遠いものになっていたのです。

種子は種苗店から買うものになっていたのです。

と、岩崎さんは語ります。

 

岩崎さんは25年ほど前から有機農業を始め、少しずつ野菜の自家採種を始めました。

現在では約80種の野菜を生産し、50種類以上の野菜の種子を採っているそうです。

私の住んでいる辺りではよくネギボウズをゴザの上に干して、種を採る光景を見かけます。

ネギの種採りは意外と簡単なのだと思います。

しかし、野菜によっては種を採るのはなかなか手間のかかること。

ならば買えば何の問題もないという事になるのですが、

もし非常時に流通が止まって種を蒔く時期に種が手に入らなかったらどうしましょう?

 

実を言うと今、一般的に販売されている野菜の種は品種改良されていて、

種から発芽して野菜になるまでは非常に色形良く、丈夫な野菜に育つようにできていますが、

種を残すところまでを考えた品種改良はされていないのです。

なので、せっかく育てた野菜から種採りをしても、その種からはヘンテコな形の野菜が育つ可能性の方が大きいのです。

野菜を育てることと種採りをすることが、こういった背景からも分かれてしまったのかもしれませんね。

そうならないためにも、昔からある方法で種を採ることは、大切なことなのだと思います。

 

どうやって種を採るんだろう?昔からあった野菜の種を持っている人はいるのだろうか?

そんな興味が湧き始めたら、ぜひ種採りの本を読むことをお勧めします。

種の世界は、新しさに満ちあふれているのです。  

 

参考『岩崎さんちの種子採り家庭菜園』  岩崎政利著(家の光協会)

 

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