私は、童謡詩人の金子みすゞさんの詩が好きなのですが、
彼女は26歳の若さで死んでいて、
自分の詩が、死後何十年も経って人々に絶大な支持を得るなんて
知らずに、ただ娘のふうちゃんの親権のことだけを思って、
自殺してしまったわけです。
夫には浮気され、性病を移されて。大切な子どもをお風呂に入れて上げることもできずに……。
だけど、
金子みすゞの描く世界は、それ故にか透徹とした眼差しで、
微細なものから宇宙的な世界観へ、そしてその宇宙は小さなものの中へという
独特の、輪廻転生をも感じさせる体感を持って、描かれました。
どこがゴールなのかは、
わからない。
ただ、世界をそういう風に感じて生きた人がいた。
それを思うと、ゴールは永遠にない。感じて生きて死んだその先にも
何かがあるように思えてならない。
金子みすゞはもうこの世界にいないのか? と聞かれると、
そこここに偏在してやはり、いるような気がする。
死もゴールではないなら、ゴールは永遠に存在しないと
思うのです……。
私の一番すきな詩は、金子みすゞさんの「蜂と神さま」です。(^-^)p
詩の世界は本当に、奥が深いですね。世界をぐるっと回っているようです。
蜂と神さま
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町の中に、
町は日本の中に
日本は世界の中に
世界は神さまの中に。
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃな蜂の中に。
金子 みすゞ