カップ-ラーメンは3分。
パスタは7分。
第二子の出産は18分。
そう。マペ次郎はたったの18分でこの世に生まれてきたのでした。
愛193回 18分間。
いよいよ連載再開の山田スイッチの育児日記です。
産休の間、紙面を懐かしく心優しい文章で彩ってくれた、
UMEKKOさんとイラストレーターの田沢純子さんに感謝して。
今日からまたドタバタと、あわて者の育児連載を始めたいと思っています。
第二子を出産した日、その日は。
初めてのパン作りにトライしてまして…。
何時間もパンを捏ねるのに夢中で、陣痛に気付かなかったのですよ!
パンを捏ねながらハタと、「この腹痛いのって、陣痛じゃ?」
と思ってキッチンタイマーで計ると、既に四分間隔で陣痛が来ていることが判明。
それで、大慌てでパンを焼き上げて。 (おいおい)
ケンさんを呼んで、産院に向かったのですが。
車中で既に三分おきの陣痛が来ており、
たどり着いた頃には子宮口が七センチに開いておったのでした。
赤ちゃんの心音を確認するために、お腹に器具の着いたベルトを巻いて。
中の赤ちゃんの心音をケンさんと二人で聞いていたのですが。
赤ちゃんの心音は、大人の倍の早さがあります。
ドドドッドドドッという音をケンさんと黙って聞いていたら、何を思ったか。
突然、ケンさんが「手綱を引くような動作」を始めまして。
そうしたらケンさんが一瞬で、お奉行様に見えてきたのでした。
赤ん坊の心音も、パカラッパカラッとしか聞こえなくなってきた私。
「お、お奉行様が見える…お奉行様が!」
陣痛の最中に意味もわからず、大爆笑してしまいました…。
産院に着いて早々、助産師さんの「ではもう、産みましょう!」
の一声で、分娩台に上がったのが午後四時ちょうど。
もう既に痛さのレベルがなんというか、アソコがビッグバンみたいな感じで。
宇宙創生の大爆発が、
そこで起こっているようなあり得ない状態が沸き起こっていたのでした。
職業柄か、ものすごく痛い最中にも、「この痛さを例えるなら…」と。
ついつい考えてしまいます。
そして出産の最中に、「この出産の気分を例えるなら、何?」
と、必死になって産みながら頭に浮かんできたのが、やぐら太鼓だったのです。
出産…この感じは、大曲の花火大会で祭りのBGMを一手に担わされてる感じ。
「今年の花火大会のBGMは、お前の太鼓一つだ!」
と言われ、太鼓のバチを握っている感じ!
そう思った瞬間に、大曲の花火大会で数十万人の群衆を見下ろしながら、
やぐら太鼓のバチを握っている幻覚が訪れたんですね。
そう思っている間にもう、アソコガビッグバンというか。
痛さが限界までやって来て、ようやく。
「とにかく後戻りはできねんだから、サッサと出さなきゃ!」
という思いで「サッサと出すこと」を優先した結果、
18分で生まれてきたわけです…。
出生時刻は、午後4時18分でした。
そして、産んでから驚いたのですが、またしても赤ちゃんは男の子だったのです。
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