頭の中旅行。

「悩まない」ということは一体、どういうことなんだろうかと
考えてみたの。
だん中(胸と胸の間の気の通り道)に手を当てると、けっこうしんどいのが消えるけど
悩むとだん中が苦しくないだろうか?
 
私も二十歳の頃、一年以上人生のどん底にいたから
悩む……ことの苦しさは、もう思い出したくもないのだけど。
悩むってきっと
頭をグニョグニョにするのではなく、「問題を深く、とことん考えること」が
必要だったんだろうなと、グニョグニョの頭で考えたりした。
 
二十歳の頃に悩んでいたのは
好きな人にこっぴどく振られて、そのショックで感情の上に一枚
蓋をしているような変な感覚がくっついちゃったからなんだけど。
蓋があろうとなかろうと、毎日は生きていけたわけで。
むしろ、考える時間を減らすために毎日、よく働いていたんDAYONE!
 
朝から晩までバイトして、運転免許取って、自動二輪免許取って、
英検二級取って、学芸員資格取って……。
今考えると、あの時振られなかったら資格こんなに取れなかった。(笑)
でもこの時は痛さに対する感覚がすごく鈍くなっていたから
(だってずっとどこか痛いような感じだから)
何でもこなせたんだYONE☆
 
弘前の歌舞伎町って呼ばれる鍛冶町で、スナック嬢デビューしたのも
この頃で、あんまりにも寂しくて辛いから、何でもこなせたの。
(姉に見つかり、一年経たずに辞めさせられましたが……)
 
あの時、しんどい生活から抜け出せたのは、
面白いことに「もっとしんどくなったから」だったんDAYONE!
 
振られて1年経った頃、ひょんなことから、大学祭をやることになったの。
『大学祭の実行委員が今年で1人もいなくなりました。
大学祭をやりたい人が誰もいなければ 今年は大学祭はありません。』
という告知を見て、私は、「大学祭がないのはちょっと……」と不安になりつつも
集まった、気が弱くて、でも面倒なことにクビを突っ込んでしまう
心の底から優しい人たちに急に巡り合えたの。
 
「もう、意味はわからないけどこの祭りを成し遂げる!!」
って、たったの気弱な7人で大学祭を復活させることになったんだよね。
その、何も知らない素人が突然3ヶ月でイベントを起こすことの大変さは、
その後思い知らされることになったんだけど。
 
3ヶ月間ずっと大学祭のことで頭がいっぱいになって
授業や他のことを何も考えられないほど企画と段取りの奴隷になっていた。
それでも、仲間と一緒にいるって本当にすごいことで。
初めての仲間に、どこか胸がワクワクしていた。
 
バイトと学祭の準備のこと、それだけしか考えられなくなって、
「なんでこんなことに巻き込まれているんだろう?」って思いながらも、
大学祭の「学祭番長」になり、元気を出していかないと
みんなを引っ張っていけないから、
とにかく元気に振舞っていたの。
メンバーは、みんな付いて来てくれて、優しくて、大好きだった。
 
学祭当日は台風が来て、
せっかく建てた模擬店のテントは飛ばされ、
台風のため人も満足に来ず、予算はバカなことにどんどんつぎ込んで呆れられ、
必死で走り回ってもみんなを、しあわせにできなかった……。
 
そう思っていたら、最後の最後、テントを全て撤収して挨拶をしたら、
仲間と、仲間でなかった人たちから、拍手を頂いたんだよね。
私は全然うまくできなかったのに。
必死で走っていたことを、みんなが見ていてくれた。
 
ここに来て、3ヶ月間走り回って、テントを建てた筋肉痛は1週間治らなくて。
それでも大事な親友と後輩が今、ここにいる……! って気付いた時に
私の、上に覆いかぶさっていた蓋が、空いていたことに気付いたの。
 
一年近く、何をしても自分の上からどかなかった蓋が、
たったの3ヶ月間、巻き込まれてしようがなく始めたことに
ボロボロになって面倒くさいことをクリアしていくうちに、
好きだった人のことを考えなくて済んでいた。
 
あの頃私は、何かきっかけさえあれば、とにかく彼の元に戻りたいと思っていた。
何度付き合っても必ず自分が振られる相手に、媚を売ってでも付き合いたいと思っていた。
でも、カラオケルームで、初めてできた仲間と一緒に
「セーラー服を脱がさないで」を歌った時に、
「ああ、戻らなくてもいいな」
って思ったんDAYONE。
 
「誰か、時給700円くらいで私の彼氏になってくれないかなあ?」
 
そう言葉に出した途端に、
私にはそれから二十年近くも一緒に暮らし、
子どもを産み、一緒に育てる相手に
巡り会えたの。
 
あの大学祭準備の3ヶ月間は、まるで戦争に駆り出されたような3ヶ月間だったけど
戦争のあまりの忙しさに、私の頭の中は悩まなかった。
「あの人が戻ってきますように」と、念じてる暇がなかった。
そうしたら、
ポッカリと新しい望みが出てきて、その新しい人は今でも、隣に
座っているんだよね。