ぴあの最終巻。
ぴあは、私にとっては特別な雑誌だ。
お笑い芸人になりたくて、でもなれなくて将来がどうなるのか全然わからなかった
あの頃、ぴあの中川いさみさんのコラムと、TVブロスの松尾スズキさんの
コラムは私を毎週のように励まし、頭の外へと連れだし、
「ほら、
こんなことを考えている僕たちの頭で世の中を見てごらん。
世界はあらゆる可能性に満ちている。
生きているだけで面白い。」
そんな風に語りかけられている気がして、雑誌が出る度に私は、励まされていた。
コラムが一体どういうものなのか、全然知らなかった私が
大川総裁の「金なら返さん!」というコラムを雑誌の中から探して読んだりするようになったのは、
ぴあの編集部にいた人達の、
魂の熱さが伝わってそうなっていたのだと思う。
そんなぴあで、今から8年か9年前に私は1本の「しあわせスイッチ」というコラムを連載させて
もらっていた。
お笑い芸人をやめた直後に、相方の勧めで応募したコラムで、ぴあのコラム大賞を頂いたのである。
あの頃は貧乏で先行きなんか全然見えず、毎日が必死だったけども
ぴあの人達は、こんなわけのわからない私の可能性に、賭けてくれた。
私は今でもまったくわけがわからないままだけど、
書くことだけはやめていない。
どうにか、私の大切な恩人である編集の皆さんが生きているうちに、
きちんといいものを書いて、届けていきたい。
コラム賞の受賞後に、
一緒にぴあで連載を始めた浅野智哉さんは
ここ8年の間に本当によく、世の中を見つめ、自分を見つめて来られたんだなあ…ということが
伝わるような書き手になっていて。
その彼の紹介のおかげで、今年少し長めのコラムを震災後に書かせてもらった。
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浅野智哉さんは大いなる問いを持っている。
その問いの大きさが熱になって、言葉が熱によって蒸発し、雨となって降ってくる。
そんなエッセイを震災後に書かれていた。
自分の信じる本当のことを、迷いなく貫き、書いていく浅野さんのエッセイは、
正直、物書きとしてうらやましかった。私の書くものは本当に普通だから。
それなのに浅野さんはまるで、僧侶のように優しく親切で。
こんなバカな私の相手をしてくれて、申し訳ないなあと思った。
今、思うのは
真面目にコツコツと書いていくことだけ。
思っていることを、形にして世の中に出していくこと。
そのきっかけを与えてくれたのがぴあだった。
いつまでも、真面目にコツコツと
書いていきたい。
わけがわからなくても、書いていきたい。
それが私の、ぴあへの恩返しだと思う。
※エンタメニュースが豊富なwebのぴあ
は今、花火大会・夏祭り特集が組まれています。
特集・インタビュー・動画。
ぴあはwebになったんだなあと感慨に浸り、
久しぶりに都内開催のお芝居の検索をしました。
雑誌がなくなってもエンタメが、元気すぎるくらいにウェブに受け継がれていて。
時代に沿っていくぴあの姿勢は、格好いいなと思いました!