無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2010/05/20 カテゴリー: 書評のようなもの。 タグ: バクテリア バクテリアを呼ぶ男 はコメントを受け付けていません
バクテリアを呼ぶ男―究極の生ゴミ革命/葉坂 勝
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生ゴミのことで頭がいっぱいになるほど、生ゴミについて関心が深いスイッチかあさんですが。この2日ほどは、葉坂勝さんの「バクテリアを呼ぶ男ー究極の生ゴミ革命」を読んで、泣いていました。あんまりにも深いお話、実話です。

ハザカプラントのことは、新聞記事でも何度か読んで知ってはいたのですが。本当に完熟堆肥が作れるプラントだとは、知りませんでした。

完熟堆肥とは、種を撒くとその上から芽が出る堆肥のことです。


世の中に出回っている堆肥は、ほとんどが不完熟の堆肥で畑に撒くと、発酵の途中のもので熱を持ったりするので根腐れを起こし、畑をダメにしてしまうものが多いといいます。


  完熟堆肥は、その堆肥の上に雑草が生い茂ります。ハザカプラントの堆肥はもはや堆肥ではなくて、土そのものです。


うちのおばあちゃんが作る堆肥は雑草が生えまくっていて、これこそが完熟堆肥といえるのですが、それを作るには何年もかかります。


 しかし、葉坂さんのプラントでは、20日間で完熟するうえに、汚水、汚泥、食品残渣、食肉残渣、家畜の血や内臓、頭、糞尿。製紙工場から出る製品カスなど。土に戻る物はなんでも土に変えてしまいます

 それは、葉坂さんが農家の堆肥作りを見て歩き、そこに神がかり的な条件の揃う日があることを見つけ、その神がかり的な条件を温度や水分や成分などの要素を葉坂さんの感じる感覚で人工的に作ったのが、ハザカプラントなのです。


 これを葉坂さんは、数学的な計算ではなく、自分自身で感じた、「私の感じ」で決めたと言います。私の感じで、幅3メートル、深さ2メートル、長さ100メートルの発酵槽を作ったのでした。

 葉坂さんは、バクテリアがどうしたいのかをよく、わかっている。だからこんなプラントを作れたのだと思います。そして、そこに至るまでの人生が、普遍的だと感じるのです。


 葉坂さんは、普遍性を求めて生きて、1+1は2ではなく、3にも5にもなるという考えで、生ゴミを土に還す行為にたどり着いている。頭でどうこう考え、計算するよりも、普遍的な物の正体を見抜くと、おのずと答えが見えてくる……その普遍性の前に、自分をたくさん犠牲にして、大きな力で進んでいく人。


 読んでいて、自分があまりにも小物で、申し訳なくなってきました。

葉坂さんが廃棄物処理業を始めるために、どうしてもバキュームカーが必要で、青森まで中古のバキュームカーを買いに行き、朝飯も食べずにいて、子供達へのお土産にホタテを買いたかったが、その買うお金がなかった…!(本文より)


 葉坂さんが青森でバキュームカーを買い求めた昭和51年の冬、

私は、たったの4ヶ月の赤ちゃんで、青森市に住んでいました。

 その、4ヶ月当時の母親に抱かれていた自分の姿が何故か見えてきて、わけがわからず泣けてきたのでした。


 汚泥や汚水を処理しても、排水を出さないハザカプラント。バクテリアが発酵を進めていくと、最終的には何もなくなってしまうといいます。
 

 長らく、生ゴミのことを考えてきましたが、「これだ!」と、確信できるものに、やっと巡り会えたのでした。