無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2005/12/24 カテゴリー: ブログ。 タグ: 上京 メリークリスマス、上京! はコメントを受け付けていません

師匠ママは先日、東京に行きました。
しかも東京大学に行きました。
なんでかって?
突然むらむらっと行きたくなったから!

生後八ヶ月の子連れの主婦が、
突然いなくなったらそれはそれで問題である。が、
師匠ママは野生の母であるからして
「な~んか、イケル気がする……」
という時は野生の勘に従って「行ってしまう」んですね……。

師匠ママ「おバッチャ……来週、師匠を連れて東京に行ってもいいですか?」
バッチャ「東京か!?」
師匠ママ「ええ……あの。仕事で。(こう言えばすべて通ると思っている節アリ。)」
バッチャ「……あった(あんなに)重いの連れて東京だばもう、無理だや?
誰かついてればいいばって……。ケン! ケン連れてけ! ケン!」

(この一言で前回は四ヶ月の師匠と台風の目・ケンさんを連れて青森から上京。)

師匠ママ「いや、あの。ケンさんを連れて行くと交通費がかかるので……。
(嘘がばれるかと懸命)できれば、師匠だけ連れて行きたいんですけど……!」

バッチャ「んだばって、大変だや? んだば、置いてけ?
一日くらいだば、面倒みるはんで。」
師匠ママ「本当ですか!?」

師匠ママ、二十四時間の自由を獲得!!
東京行き決定!!(パンパパパーン!パーパパーン!!)
※昔のウルトラクイズ風に。

実のところ、ここ数日ずっとワダエミの衣装世界展を観に
東京へ行きたかったのだ。
ワダエミが金スマにゲストとして出たときの格好良さ。
「一つの作品に百冊の本を読むのは当然のことです」と
言い放つ衣装デザイナー・ワダエミ。
「ワダエミ」という言葉には魔力までも宿っていそうだ。
試しに眠気と闘いながらやらねばならんことがある時、
呪文のように唱えてみると、眠気が引く。
「ワダエミ…ワダエミ…ワダエミ…おお、眠気が引いていく……。」
そんな彼女の衣装展が東京で開催中なのだ。

しかし、それを観に行くのは無理なんだろうなと思っていた。
(子供八ヶ月だし。重いし。)
だけどもそう思って暮らしていたところに、
ダメ押しの元締めがやってきた。
田口ランディさんが東大で講義をやるんだって!
しかもランディさんのお話は今年の総締めだというのだ。

師匠ママは、「ダメ押し」に弱い……。
私のダメを押すもの……それは、
大人計画の芝居とか奈良美智さんの展示とか美輪明宏さんの舞台とか
田口ランディさんのお話とかおいしい焼き肉とかタイ料理とか。
(おいおい、仕事はどうした……。)

そんなわけで新幹線の切符を取り、
その日の夜行バスで帰ることに決定!
朝七時に青森を出て、午後十二時に東京に着いて夜の十時に
浜松町から出る夜行バス・ノクターン号に間に合えば、
二十四時間以内に師匠に会える!
そんなわけで着いて早々ぴあに寄って、
その後ワダエミの衣装世界展を観て、
(ワダエミの衣装は震えが走るほど美しかった……!)
やって来ました。お茶の水、本郷。

夜の東大

安田講堂のある東京大学は、すごく建物のすてきな大学だった。
古い建物が大好きな師匠ママは東京大学の雰囲気がめちゃくちゃ、
気持ちよかった。

東大の夜
  

ランディさんのお話は、
もったいないから教えてあげる気はない。
(ここまで書いておいてそれかよ!?)
しかし、私が初めてランディさんの小説を読んだときのように
全部がひっくり返るような思いで聴いていた。

全てはランディさんの体験を通して、肉を通して語られる。

映像がありありと浮かぶ。

全てのものに実感を持ってランディさんは語っていた。

四年前、私が初めてランディさんの『コンセント』を読んだとき、
「世界の中枢にあるのはサイの角だ!」
という下りで全てがひっくり返るのを感じた私は本当に
それまでの価値観とかがひっくり返ってしまい、
お笑いコンビで組んでた相方と二人して、
「別にデビューできなくても、良いネタができればそれで良い」
というところまで行き着いてしまったのでした。

その頃、自分の好きな松尾さんとか、ランディさんの本を相方に貸すと、
相方はよしもとばななさんの『ハチ公の最後の恋人』とか、
向田邦子さんの『阿修羅のごとく』を貸してくれて、
これ以上の幸福はないような日々を暮らしていた。

そういう風に、常にひっくり返るきっかけをくれたランディさんの
東大講義で、べてるのと水俣と広島と内在化と外在化の話を

聴いていたらわかったのだ。

『私の人生は、私のものだ。』

すごく単純なことだけど、一番大事なことなのだ。

そういうわけでその日はもう最高の気分で、
お酒をイッパイ飲んで、ランディさんを占って、
見ず知らずの人も占って、帰った。
(師匠ママ、酔うと占う癖あり……。)

ケンさんに携帯で電話をすると、師匠はおっぱいの出る私と離れ、
ラマダン状態になると思ったが離乳食をバッチャにあずかってもらって、
ちゃんと食べているという。
「尾上町の奇跡」と呼ばれるほどよい子にしているらしい。

ケンさん「今年はあともう、奇跡は起こらねえや?」
私   「ありがとうケンさん!」

そんで、師匠と離れておっぱいがラグビーボール並みに腫れ上がりつつも、
やっと、ここ数日の低迷から解放された私は、
いい気分で夜行バスに乗り、無事に師匠の待つ青森に帰り着いたのだった。

皆さん、メリークリスマス。

良いクリスマスを……!