無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2008/02/18 カテゴリー: アート。 タグ: 未来過去 一秒前は過去 一秒先は未来 はコメントを受け付けていません

雪さんが、弘前大学で舞踏のワークショップをしていた時の話だ。
大多数の学生さんは真面目にワークショップを受けているが、
三人だけ前の席に座っていた学生さんがふざけている。

ワークショップは大きな円になり、
その中心へ歩いていく。
ただそれだけのことだが、
雪さんが導くと、頭の芯がじんじんする。
中心へ向かう距離がひどく長く感じられる。
普段意識していない身体の細部が、ようやく命をもって動き出したような感覚を覚える。

だけどふざけている学生達は、そんな世界はバカバカしい、
恥ずかしいといった感じで
輪に入ろうとしない。

雪さんがスッと近づいてもまだふざけている。
雪さんはその学生の腕に触れた。
すると、ビクッとしてその子はガタガタと震えだした。

「いい?この時間は、今しかないんだよ。
講義が終わったら、バイトとかあるんでしょう?
だけどこの時間は、今しかないんだよ?」

雪さんは学生の腕を取って、ゆっくりと
円の中心へと歩いていった。
その子はずっと震えていた。

ようやく円の中心に着いた時、
そこには何か得体のしれない喚起がわき起こる。
舞踏は、一秒先が
どうなるか誰もわからないのだという。
踊っている最中は、指先が伸び、足を踏み出す一秒先も未来なんだ。

雪さんにとっては、
一秒前の過去すら、必要のないもの。
だから、振り返ったり、過去の作品を見るのがひどく苦痛なのだそうだ。
一度踊ったものは、何年か経たないと観る勇気が湧かないという。

だから、「大野一雄 百一歳の日」で踊っても、
サンクトペテルブルグ バレエホールで1500名の劇場を一杯にしても
それをすっかり忘れてしまっているのだ。

恐らくそれは、現在じゃないから。
今この瞬間じゃないからだと思う。
何故か私の周りにはそういう人が多い。
ケンさんが特にそうだ。
雪さんは、踊ることしか考えていない。

来月から雪雄子さんの舞踏ワークショップが始まります。
3月と4月の毎週火曜日。
夜の6時から8時の2時間。
場所は弘前市にある上土手スクエアです。上土手スクエア 弘前市土手町211-7 tel 0172-36-3650
当日受け付け。
参加費は学生500円 一般1000円です。

問い合わせメール
yukiyuko_butoh@yahoo.co.jp
(メッセージを確認するのに3~4日時間がかかります。)

興味のある方はこちらの過去記事をご参考ください。
雪雄子 東北野辺行脚 薬玉・編

サントリー野辺地蔵置場舞踏