寝物語に、
夫のケンさんが悟りを開いてくれるのですが。
なんせ寝る寸前に話をしてくれるんで
夢うつつに「すごいことわかった」とか思って
目を覚ますんだけど
起きると忘れちゃうんだよね。
「ケンさんすごいや、ムニャムニャ……。」
って、何も悟れないっすよ。
さてさて。
屋根の雪下ろしの死傷者が出ている県に暮らしてる
スイッチですが。
今年は豪雪過ぎて村の墓所が雪で埋まって、
春まで出てきそうにありません。
冬に死んだら命日に墓参りするの、無理……。
墓が、今年は「どこにあるのかわからないぐらいに」
雪に埋もれてしまってます。
そこで、疑問に思った私はケンさんに聞いてみました。
「細木数子が墓参りは月一でしろって言ってるけどさ、
墓って、参った方がいいの…？」
すると、ケンさん。
「他の人はどうか知らねえばって、わ（俺）っきゃ、
死んでも墓にはいねや？」
「えっっ！？ 何で！？」
「だって死んじゅう（でる）もん。」
「あ、そうか！……私も、死んだら墓にはいないな……。
多分、墓にはいない。つうか、墓なんか建てるのは人間だけなのに、
なんで墓参りとかしなきゃいけないんだっけ！？
動物は、黙って死ぬのに！」
するとケンさん。
「……。あのよ、本当はモチベーション、ねくても生きていけるんだばってよ、
人間様だけはモチベーションがねば、生きていけねえんず。」
「モチベーションの話なの！？」
「あのよ。昔は情報が少ない社会でやってきてたはんで、
村で一番頭いいとかでモチベーション高めることが
できたばってよ、
今ぐらい情報が多い世の中だと、
村で一番とかいうモチベーションの高め方が
できねえはんで、困ってるんず。
生きる意味なくても生きていけるんだばって、
意味とか見つけたヤツの方が、力強く生きれるんず。
だばって、オリンピックの選手みたいに「一番速く走る」とかを
モチベーションさすれば、それを失った時困るんだいな。
そういう時に宗教が出てくるんず。
宗教はモチベーションを高める手段だはんでの。本当は一人一人自分のモチベーション上げる手段ば
見つけるにいいんだばって、
宗教さ任せれば考えねくてもいいっきゃ？
ようするに宗教っきゃ、
考え方なんだばって、
考え方で世の中動くっきゃ？
だから宗教は死んだらどうなるとか、
そういう死後どうなるかわからないものを利用して
普及してきてるんず。
細木のオバチャンは占い関係ねえっきゃ？
だばって、
あなた死ぬわよ！だから家族を大切にしなさいって、
ムチャクチャだけどよ。あれっきゃ、すげえや？
バカなヤツと悪いヤツさ良いことさせるためには、
論理で言っても限界があるって知ってるんず。
良い結果に導くための努力とモチベーションが必要なんず。
「……そうすると、墓は拝んだ方がいいから、
拝ませてるんだね！ 墓は拝んだ方がいいよ！
墓の前なら謙虚になるから！」
「わ（俺）は、いねばっての。」
「うん。あっそうだ…！私が死んだら私の魂は、
ジェファーソン（ダンナのち○こ）に宿るんだった！」
「……。悔い、な？」
「えっ」
「それがお前の悔い、な？ それのせいで、成仏できねえんずな？ 哀れだの。」
（哀れって！？）
だけどケンさんは私が哀れだと「おお、ヨシヨシ」って
頭撫でて哀れんでくれるので、私はけっこう嬉しいのでした。