赤ちゃんが現れるとその家のそれまでの生活は、
一瞬にして破壊されますね。
もうコーヒーとか熱いもの飲んでる場合じゃないですよ。
麦茶が飲めればいい方ですよ。
この間、赤子連れて飲みに行った時、
私が口にできたのはウーロン茶一杯でしたが、
「プッッッハー!!! うんめええええ!!!!」
と
「ウーロン茶を飲んだ人の感想ではない」と人に言われました。
そんなわけで。
生活を変えられるのは何も、お母さんに限ったことではありません。
もちろんお父さんにも変わってもらった方が後々楽だと思った私は
せめて、お風呂と子を二階に運ぶ作業だけは父となった
噂のケンさん……ケンさん……ケンさん……に、
お願いしてたのですよ。
ところがその日、ケンさんは眠かった。
「ねー、運んでー」言うても、起きやしないのですよ。
それで、頭に来て部屋中の電気を消したら寝呆けたケンさんは
「なんぼ、マネのよ」(なんてダメなコトするのよ)
といい、布団を被って寝てしまいました・・・。
何故かケンさんは、自分の部屋の電気とテレビを消されるのを
極端に嫌う。それで私はつけっぱなしの電気とテレビが
大嫌いなのですね。
もう、ツインピークスのボブばりに
ストッキングに石鹸でも入れて殴りつけようかと
思ったのですが、そういう時に浮かぶ言葉があるんですね・・・
今日は「将太の寿司」じゃないよ。
「愛を投げれば愛が返って来る。憎しみを投げれば、憎しみが返ってくる」
という言葉なのですね。恐らく、バイ・美輪明宏・・・。
なので、寝ているケンさんを殴るのは止めましたが、
私の心にはまだまだ黒い感情が渦巻いていました。
憎い…恋しい…憎い…恋しい……めぐり~巡って今は……憎い!!
バイ、八代亜紀『雨の慕情』……。(途中まで)
だけどもよく言う話で、「女はいつまでも過去のことを、
ほじくり返しては蒸し返し、決して忘れることはない」
って言うじゃないですか。
そりゃそうさ、相手に不利で自分に有利なことは決して忘れないさ?
だけどそんな愚痴愚痴した女との一緒は、イヤ!!
息子と一緒に八代亜紀を歌いながら。その日は何事もなかったように
過ごしました。(いや結構、何事かあったよ?)
しかし、翌朝になってみると
男の人ってうちの親もそうだけどさ、
すっかり忘れて「俺なんかしたっけ?」って顔でいるのね。
怒りの沸点が違うわけだからさ。
怒っても意味ない、つーかムダなんだなってのが
よっっっく、わかるのですよ。よかった、ムダなことしなくて。
でも、流石に昨日のことをぼんやり覚えてるケンさんは、
逆に叱られなかったのが不気味なのか、少々かわいこぶって
叱って欲しそうなんですね……。ちらちらってこっち見るんですよ。
くはあー! カワイイイイ!!
しかし、育児に追われて余裕がないときは
こんな「一晩待つ」なんてことはしません。
ケンさんが実験的に足を蹴ってきたら、ものも言わずに蹴り返しますよ。
一瞬たりとも自分の中にストレスを溜め込めないのですよ。
その時のケンさんの台詞。
「ホラ見ろ、テロにあった国が戦争始めれば野蛮だなんて言うくせに、
自分が蹴られれば蹴り返さずにいられない、それが人の、正体だ!」
「………あ然………。」
「実験してみた!」
「………あ然。」
憎しみを投げれば、憎しみが返ってくる。
愛を投げれば、愛が返ってくる。
その前に、
「そんな実験はせんでええ」
と言いたい私なのでした。