ウッス! 師匠ママです。
……子供を産んだお母さんは、子供の名前にママをつけて呼ばれることが多いのですが、うちの師匠(息子)はあまりにも師匠らしい赤ちゃんなので、本名を明かさず師匠、師匠と呼んでいたら、最近出会う人がこう言ってくれます。
「あら、この子が師匠くん!?」
(……師匠くん!?)
どんなヤツなんだ……。
このままではいずれ公園デビュウを果たした時に、「師匠ママ」と呼ばれる危険性大です。
なんか、返事の仕方とかが「なんじゃ?」って、語尾に「じゃ」をつけて答えるキャラに成り代わりそうでこわいです。ね、師匠ママ……。
つぐママはつぐ君のママだからつぐママなんだろうか…。それとも何か深い訳があって何かを継承した際につけられたあだ名が「継ぐママ」で、転じて「つぐママ」とか。
他にも息子にすごい名前を付けすぎて「これにママはねえよなあ!?」って名前になっちゃった人といるだろうな。昔の宣伝に出てきた三人兄弟の「大地・宇宙・遙」のママとか。…宇宙ママ!?
裂男(レオ)君のママで「レオ君ママ」は結構いそうなんだけど、息子の名前が「臥薪胆(がしんたん)」で、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)ママってのはそういないかもしれない。
(たきぎに眠り、肝をなめて復讐を誓う子になれ、という気持ちを込めて付けました。)臥薪嘗胆ママ。
まあ、そんなわけで師匠ママですわ。
師匠ママは夕べ、夜の九時に子供を寝かせ、「三時ぐらいに起きて仕事しよう~」とか思っていたのに朝、九時に起きてしまってどうにもやりきれない気持ちでいっぱいです。
なんで、十二時間も寝てしまえるのかなっ!? もうわかんないッスよ。
十二時間……普通、半分の六時間でよくねえ?十二時間……。六時間もあれば仕事が終わったのに……部屋片づいたのに……あとなんだ?六時間あれば………
走って秋田まで行けたのに………?
起きるとケンさんもバッチャも既に出かけており、朝ご飯はもう出来上がっているんですわ。嫁としては非常に申し訳ない限りです。が、
人は一人で生まれ、一人で死ぬということを肌で感じて頂くためにも、ケンさん(夫)の面倒は「もうみれねえ」でもう、いいかあって気持ちなんですよ。
もう、いいやあ~。ケンさんは一人でうまいことやって! 昔はズボンにアイロンかけてたけど、もう無理。多分。
人が面倒見れる数は、限られてるのよ!
だから子供以外は全員自立してくれたら楽だなあとか思います。専業主婦ならなあ……。夫ぐらいならどうにかなるかもしんねえけどなあ…。
嫁に来る前、我が家は二世帯同居になる予定で実際そうなったのだが、それは「義父母との同居」ではなくて、「義祖父母との同居」であることを七十代の先輩に告げると、その先輩はこう言った。
「スイッチさん! あなた嫁にいったら絶対、家事をしてはダメよ!?
『晩ご飯は私が作ります』なんて言ったら、晩ご飯作らなきゃいけなくなるのよ!? 言わなきゃ三食作ってもらえるんだから!
いい?
何もしない嫁が、いい嫁なの! 仕事を取られたら主婦は終わりよ!」
……凄まじいアドバイスである。なので、私はこの言葉を肝に銘じ、ほとんどの家事を行わなかった。そうか……そうかもな……。バッチャは主婦歴六十年のベテランであるが、それはひとえにケンさんのお母さん(ミニバッチャ)が仕事をしていて、家事をしなかったおかげである。
うちの実家の祖母は一度主婦業を母に譲って二十年とか暮らしたために、ブランクの長かったサッカー選手みたいに腕とか震えて料理の勘が鈍くなっているのだ。主婦にとってブランクは敵だ!
そんなわけで師匠ママは、どうにかバッチャが現役を引退しないうちに、もう二、三人子供を産もうと思ってるのです。
今、バッチャは四捨五入で八十歳である。ひょっとして年子でも産まないともう間に合わないのか……? 年子。
年取ると出産キツイって言うし。
そんなわけで、もしも師匠ママが毎年、年子を産んでも「計画性がない」などとは言わないでやって下さい。むしろ計画的に年子なんで、よろしくでゴワス。