無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2008/03/06 カテゴリー: ブログ。 タグ: 当たり前 当たり前のことだけど はコメントを受け付けていません

一昨日は、雪さんの舞踏ワークショップに
神奈川から女の子が一人参加してくれたので、
お昼に待ち合わせてお蕎麦やさんでごま蕎麦を食べて、
弘前ねぷた村を訪れました。

参加してくれたYさんのことを、
会った瞬間、「なんて頼もしい……!」と思った。
ノーメイクで目が日本人のそれじゃないみたいに強くって。
リュックサックに登山靴、ジーンズにセーターの彼女は、
どこにでも連れて行ける!!と一瞬で思わせたのだ。

それにしても、雪さんのワークショップには
地元からの参加者が少ない。
2006年の時なんかは東京から一名、浪岡町から二名、
ウィーンから一名
って……。参加者が国を超えてやって来ているのに
地元の人は舞踏にそれほど関心がないっていうのは
もったいないことだと思う。

今年は5月5日に青森県立美術館で
土方巽アーカイブの森下隆さんの講演会「土方巽の舞踏 ~東北から東北へ」
があり、
雪さんがゲストで招かれて踊る。
講演会会期:5月5日 (月・祝) 14:00 – 16:00

観たことがない方はぜひ、この機会に彼女の踊りを観て欲しいなと
思っている。

弘前ねぷた村は、実をいうと、見所がいっぱいなのです。
地元民は滅多に訪れるところじゃないと思うのですが、
入村料の500円に見合った、楽しく、深い場所でありますよ。

行ったらねぷた太鼓で歓迎してくれるもの。
太鼓、叩かせてくれるもの!
これを叩かなきゃ来た甲斐がないってもんです。
本当になんか、太鼓叩くと人生変わるよね。

扇ネプタとネプタ絵師のプロフィールを見ていたら、
意外に絵師なのに職業欄が「地方公務員」とか、「調理師」とか「住職」
などのお仕事の方が大勢いて驚き。
中でも住職のネプタはやっぱり、絵が柔らかくて驚きました。

やっぱり生き様って、仕事に出るよね。

この後、弘前の伝統工芸の津軽塗り、こぎん刺し、こけし作りなどを見ながら
津軽三味線の生演奏へ。
津軽の手仕事って、本当に素敵。
年々、伝統工芸品に惹かれていく自分がいるわけですよ。
こぎん刺しのバックとか持って歩く人になりたいなあ。
ゲタは津軽塗りの真っ赤な下駄でさ。

それで、今回「生き様が仕事に出る」と強く感じたのが、
津軽三味線を演奏していたオバチャンの姿だったのですが。
演奏しているオバチャンの人生が、三味線の演奏と共にブワーって、
来るんですよ。

その、音色のなんともいえなさ。
オバチャンは頬を真っ赤にして、ピンク色に昂揚していて、なんとも
色っぽかったのだ。

どんな仕事でも必ず、その人の人生が現れるんだと思う。

夕方、雪雄子さんの舞踏ワークショップ。

身体を緩ませて、水のように動き、いつの間にか自分が海辺の生物になったような
不思議な感じでした。

摺足とか、基本的なことも教えてくれて。
私は雪さんの舞台をしょっちゅう観てるし、
一度か二度、ワークショップを受けていたから
なんとなく入りやすかったけど、今日は一つ、掴んだ。

スイッチ「わかりました摺足は、丹田です!」
雪さん「そう。丹田に力を入れて、あとは全部力を抜いて、吊っていた糸を切ったように。
目線はどこまでも真っ直ぐに先を見て。」

雪さんは語った。
「憎しみでも、愛でも、そういうのがないと、踊れないのね。
手にギューッとその思いを込めて、ふわあっと一つの形にしてみて」

丸い塊みたいなものを手で作る。
そういえば、一番最初にやったのは、「気を練る練習。」
息を細く細く吐いて、短く吸うを繰り返す
呼吸法で、丹田の辺りに手をふわりと置くと、そこに気が作られていく。
冗談だと思っていたが何度か繰り返すうちに、手を相手に向けてみたら、
手のひらがやたら熱い。雪さんの方に向けると、パチパチと空気が押し合うようだ。

稽古中、Yさんと雪さんと私、手を繋いでぐるぐると回る、雪さんの手の力が凄い。
相手の手をギューッと握って、ぐるぐる回った。
BGMには雪さんがロシアのワークショップでずっと使っていたという、
都はるみの「愛は花、君はその種子」の音楽が鳴っている。
気持ちがぐるぐる回っていく。

そして、二時間のワークショップが終わり、
何かわかったような気がした。

翌朝、普段めったに動かない私はひどい筋肉痛だったのだが、
動作の一つ一つを踊りに変えることができるような気がして。
師匠と階段を上る途中も、ドアノブを回す瞬間もフッと、
舞踏のような空気に入れた。

この空気はとても気持ちがいい。
自分一人のために、自分が歩くこと、動くこと、日常の単純な動作に
楽しみを見いだすために。
赤ちゃんが初めて歩く時、あれほどの喜びを持って足を踏み出したように
思いを戻すことができる。

やっぱり、
雪さんのワークショップには、雪さんの人生が立ち現れる。
雪さんの生きてきたこと、
森の中に身を置いて風を感じたこと。
細いその身体からあふれ出る、源泉のような熱さ。

そういうものを感じるために、私はがんばっちゃうんだろうな。

雪雄子さんの舞踏ワークショップは、
毎週火曜日 青森県弘前市の上土手スクエア スペース2で
PM6時~8時開催です。(2008年6月24日まで)

お問い合わせは、上土手スクエア 弘前市土手町211-7 tel/fax 0172-36-3650
yukiyuko_butoh@yahoo.co.jp まで。

料金は一般 1000円 学生 500円
です。