松尾スズキさんの新作「ウェルカム・ニッポン」が出て、
ほぼ寝ないで読んだ。
すっごく、すっごくすっごく、面白い。
9・11から3・11まで、「ここまで書いていいの?」というぐらい
人間を掘り下げて書いている。
いや、実際、震災は関係ないのかもしれない。
本当は震災関係なしに、人ってこんなものだと思う。
でも「そんなもんだ」と認めたくなくて、
それだけは書かないという領域を松尾さんは書いていく。
たぶん、たくさん叩かれてもおかしくない絶対領域に踏み込んでいるのだけど、
松尾さんは叩かれない。
ここまで覚悟を決めて書いている人を叩くことほど、バカなことはないからである。
本って面白い。
本当に本って、面白い。
「ウェルカム・ニッポン」はただいま、下北沢本多劇場にて上演中である。
脚本形式に読み慣れていない人は、まず大人計画の「そこまでやる」お芝居を
観に行ってみよう。
たぶん、「そこまでやる!?」って、本当に言っちゃうと思うから。
そして、大人計画の本公演を観たことのある人だったら、
今回の作品はあらゆるシーンが目に浮かぶと思う。
というより、私はこれを読んでいる間、全てのシーンが目に浮かんでいた。
何もかもが体験したシーンのように感じられる。
だから松尾さんはすごいんだと思う。
やっぱり、いつも松尾さんの作品を読んで思うことは、
松尾さんは「本当のこと」を追求している人だと
いうことなのだった。
読み終わる頃には、「うっすら生きる」という言葉が
妙に腑に落ちて聞こえる
はずである。