無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2010/06/16 カテゴリー: アート。 タグ: 公演再演弘前復活舞踏雪雄子 雪雄子 舞踏公演「復活」 弘前再演 はコメントを受け付けていません


 

 宇都宮の大谷石で造られた蔵のギャラリー「悠日」で、

絵師の香川大介氏の個展オープニング・イベントがあった。

田口ランディさんの創作した「現代版・般若心経」の朗読劇。


 

 葛目純一君の馬頭琴の演奏に合わせて舞台は進み、時折、葛目君のホーメイという独特な歌唱法でその世界観が造られていく。2500年の時を経て恐ろしさに触れながら歌と、風と。世界が、柔らかいものでできているような気持ちにさせられた。

 


 朗読劇の後は、舞踏家・雪雄子さんの舞踏パフォーマンス。



 雪さんは、たった1人で赤ちゃんが母親のお腹の中で育ち、生まれ、生き、やがて病を経て死んでいくという、仏教の生老病死を表現できる数少ない舞踏家だ。


舞台に響く、夏の鳥の声。夏の鳥の声を聞くと、本当に生きていることの不思議さと切実な喜びを、ただ黙ってじっと、感じることができる。

 

テーマは、「復活」。


 この舞台で私は初めて、雪さんが舞台の上で完全に死んだのを見た。


 今までに産まれてくる雪さんは何度も見たが、完全に死を表現されたのは、私にとって初めてのことだった。朽ちて死んでゆく雪さん。完全に動きが止まり、そこから、目でとらえることができないほどのゆっくりとした動きが、場面を緊迫させる。



 泥の中から蓮の花が咲くような、復活。

 

 あとは、完全なる喜びの中で、雪雄子は。生きているっていうことがどういうことなのかをひたすらに、私たちに見せつけるのだ。

 「ほら、素晴らしいでしょう? 生きているっていうことは!」


 完全に生きることを楽しんでいる彼女の姿に、圧倒される。


「こうなのよ! 生きるっていうことはこんなに素晴らしいことなのよ!」

 

 こんな人を、私は他に観たことがない。ここまで生きることにおいて喜び震えられる人を、私は知らない。何度観ても、「こんな踊りは観たことがない」と思う。天才。そうとしか、言いようがない。

 

 こんな、すごい人に踊りを頼める絵師・香川大介がまた、素晴らしい。

 

 ものおじしない。それだけの絵を、彼は黙っても描いてしまうから。

 

 宇都宮に、また来年も行きたいと思う。

  こんな舞台を、死ぬまでに何度も、観ていたいから。



雪雄子 舞踏ソロ「復活」再演のお知らせ


日時 2010年7月25日(日) 午後3時~

場所 弘前 SPACE DENEGA

料金 3000円


SPACE DENEGA

036-8013
青森県弘前市上瓦ケ町11-2
TEL 0172.32.1794
アクセス
・JR弘前駅より徒歩で約15分 ・青森空港より車で約40分


チケット予約・お問い合わせ

jomon_tomonokai@yahoo.co.jp