我が家では、師匠(三歳児)のしつけには、
いつもご登場願っている方がおるのです。
その方の名前は、「あくまのおかあさん」。
悪魔のお母さんは、さと子お母さんに乗り移る、という形で現れます。
師匠がハミガキをしないとき、
師匠がちんちんを出して走り回っているとき、
師匠がおやつばっかり食べているとき。
悪魔のお母さんは現れます。
あくまのおかあさん「イーッシッシッシッシ!師匠ちゃん、お口の中に甘~いお砂糖を塗ってあげましょうね。(小声で)これで師匠の歯は虫歯菌でいっぱいになって、ボロボロになっちまうよ!」
すると師匠は慌ててハミガキを取り出して、必死になって磨きます。
「あ!何をするのさ!それじゃあ、虫歯菌がいなくなっちまうよ!まあいい。さと子お母さんに仕上げ磨きをさせなければ、虫歯菌はまだまだ出て行かないからねえ…!」
すると師匠は慌てて、私の膝の上に頭をのせると、
パカッと大きい口を開いてアーンをするじゃないですか!
「な、なんてこったい!これじゃあ、私の大好きなバイキン達が消えてしまうじゃないか!」
しかし、あくまのおかあさんはニヤリと笑って言いました。
「だけど、ぐちゅぐちゅぺー!(うがいのこと)をしなければ、こっちのもんだね!」
すると師匠はまさしく、「ドドドド」と洗面所へ走っていって、
一人でハミガキコップを使って、ぐちゅぐちゅぺー!をするじゃないですか!
あくまのおかあさんは叫びます。
「なんてこったい!バイキン達が全部、出ていっちまったじゃないか!
こ…この子は、いい子過ぎるよ~!」
夜、寝る前は師匠と布団の中で、あくまのおかあさんの家庭事情を聞かせます。
「あくまのおかあさんの子供はね、あくまのおかあさんが夜、
寝る前にチョコレートを三十六枚も買ってくれるんだけど、食べたフリしてこっそりハミガキしちゃうんだよ。」
すると、師匠。
「あくまのこども、いいこだね。」
「うん。子供が寝ると、あくまのおかあさんは悪魔の居酒屋で、
ヤモリとかヘビを肴にお酒を飲んだくれるんだ。だけど、あくまの子供が
『お母さん、一緒に帰ろう』って、連れて帰るんだよ。」
「あくまのこども、いいこだね…」
そして今日も怒濤の一日が、終わったのでした。