[うちのバッチャ] 34. バッチャの甘酒

34. バッチャの甘酒
 
 2人目のひ孫も生まれて、バッチャもそろそろ大人しいバッチャになるかと思いきや、
びっくりするほど相変わらずです。ひ孫が生まれてパワーアップした感もあります。しかし、私の方がバッチャの豪快さに慣れてきてしまったのか、あまりバッチャがすごいことをしても、気にならないようになってきたある日のことです。
 バッチャは年始早々に、マペ次郎の頭を見ていいました。
「わい、頭パヤパヤどして! 髪ちょっと刈ってやんねばマネなあ~」
 と……。先月で1歳になったばかりの次男・マペ次郎の頭を見るにつけ、
「1回全部刈れば、髪いーぐ(良く)なるんだばってなあ~」
 と、前フリのように繰り返すバッチャ。しかし、刈る時は一瞬でした……。
 電動式のバリカンを、迷うことなく1㍉の設定でマペ次郎の頭のど真ん中からグイーンと刈っていくバッチャ。驚いた私が叫びます。
「お、おばあちゃん!」
「さっぱど(サッパリと)するはんで、なあ~!」
 バッチャはバリカンでバリバリマペ次郎の頭を刈っていきました。青森県には、坊主頭の子供がよく似合います。その坊主頭の子供が、サイズの合わない大きめの白ランニングを着て、短パンをはいて畳に寝転がる姿を見ると、まるで昭和の風景がそのままにあるような気がしています。うちの子供達は坊主頭になった途端に昭和の子供そっくりになりました。
 バッチャが動くときは一瞬です。思えば、チェーンソーで庭の木を倒した時もこんな感じでした。今は小さい子供が産まれたので、ジッチャとバッチャはまるで「ももたろう」の、桃から赤ちゃんが生まれたおじいさんとおばあさんのように輝いているのです。
「マペ次郎さん、マペ次郎さん……わい~、めんこいの~。まんずめんこいの~」
 と、マペ次郎の寝顔を見ながらジッチャが何度も言うと、バッチャはジッチャに言います。「ジッチャ、しゃしねえ(うるさい)! なんぼ、しゃしねのよ! マペ次郎、起きてまうべよ!」
 と、ジッチャの何倍も大きい声で叱るのでした……。
 わが家のバッチャはもう80代だというのに、ボケる様子もなく元気であります。
 何故ならバッチャはボンヤリした嫁の代わりに朝ご飯の支度をしなきゃならないわ、晩飯の支度をしなきゃならないわ、病院に行かなきゃならないわ、ひ孫の面倒をみなきゃならないわで、ボケている暇がないのです。
 ダメな孫嫁をもらうと、ボケなくてすみますね。マペ次郎の誕生日である2月の末日から数日後。3月3日はひな祭りだったので、バッチャに美味しい甘酒の作り方を聞くと、酒の板粕(板のように固く酒を搾り取った後の酒粕)で、めちゃくちゃ美味しい甘酒を作ってくれました。
「おばあちゃん、これどうやって作ったんですか!」
「板粕こと、ちぎってぬるま湯さ浸けておくのよ。そうすればドロドロになるべ? それをすり鉢さ入れてゴリゴリと摺るのよ。そんで鍋さへで(入れて)、砂糖へで、塩わんつか(少々)へで火さかけるノヨ。」
 バッチャの作る甘酒は、マッコリ(韓国のドブロク)のように美味しくてやみつきになります。
「この甘酒、美味しいですねー! 隠し味は一体、なんですか?」
私がこう聞くと、バッチャはニカッと笑ってこう言いました。
「酒!」
 驚きのバッチャの甘酒……ぜひ、皆さんも作ってみてくださいね。
 
 

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