エコハンター第81回「バッチャのホッケ寿司」
先週は、欧米の漬け物・ピクルスをご紹介しましたが、
今週は津軽の伝統の保存食、「ホッケ寿司」をご紹介したいと思います!
私が嫁に来てから一番驚いたことは、
春になるとうちのバッチャが洗濯物の横にホッケを干すことでした。
「何故、洗濯物のとなりにホッケが…?」と、当時は非常に驚いたのですが、
津軽ではこれが春の風物詩なのですね。
ホッケ寿司は漬けるのに5ヶ月という時間をかける、究極のスローフードなのです。
50匹のホッケを開いて軒先や物干し竿に干し、堅くガンギッガンギッとなったら、
何故か一度水に漬けてザルに上げます。
そして、大鍋にもち米7合をやわらかく煮て、ざらめを2袋半を加えて溶かします。
そして醤油14合、焼酎4合、500ミリリットルの酢1本、塩2合弱、
赤唐辛子3本を加えて漬け物の漬け汁を作り、
ニンジン3本とショウガ10個を千切りにして加え、漬け汁を作ります。
漬け物樽の中に黒いナイロンの袋を敷いて、その中にホッケと漬け汁を交互に入れて漬けていくのですが。
バッチャが言うには、このナイロンは黒いナイロンでなければならず、
白いナイロンだと夏の間にアブがついてしまうそうです。
そして最後に載せる漬け物石は、重ければ重いほど良いと言います。
「んだばって、大きいホッケと小さいホッケだば、漬け汁の量違うんだや?」とバッチャ。
た…確かに、大きいホッケ50匹と小さいホッケ50匹では、
使用する漬け汁の量は大幅に変わるのでしょう。
漬けるホッケをよく見て、漬け汁の量を決めるそうです。
もう、レシピでは表現できない世界ですよね。ホッケ寿司の食べ頃は秋だそうです。
昭和3年生まれのうちのバッチャは、今年85歳になります。
一緒に暮らしていると、何でも教えてくれる頼りがいのあるバッチャです。
こんなバッチャのことをまとめた、「うちのバッチャ」という本を出しました。
自分で本を出すのは、実に8年ぶりです。
本の中では陸奥新報紙で連載していた「育児日記」の師匠やマペ次郎、夫のケンさんも出てきて、
青森での日常生活と笑えるエコ、バッチャの豪快さを伝えています。
山田スイッチの「うちのバッチャ」(定価1050円)は、
青森県内の各書店か山田スイッチ社 公式ショップでお買い求め下さい。
<エコハンター第82回「スギナとヨモギで野草茶をつくろう」へ>
※※※この画像(記事)は、陸奥新報社提供です。無断転載はできません。※※※