気持ちが落ち込んで、すこし暗くなっているとき、
子どもたちの思いも寄らない発想に、
救われることがたくさんあります。
それは、震災の時も例外ではありませんでした。
第290回 枝野さんといちご。
東日本大震災から2週間が経過しましたが。
地震の被害をテレビで観ていると、ついつい気持ちが沈みそうになりますね。
「これはあんまりだ…」って。
でも、沈んでばかりいても何にもならないとも思うのです。
こういう時、子どもは一体どのようにして過ごしているのかというと、
たいがいは思いもよらないことをして親を驚かせているものなんですね。
たとえば、師匠に地震が起きてがれきの下に埋まった場合の
アドバイスをしていた時のことです。
「いい?がれきの下になったらいくら叫んでも聞こえないんだから、
その辺にあるものを、石でも棒でもなんでもいいから、
つかんでトントントントンって音を鳴らすのよ?」
そういうと師匠は自信を持って答えました。
「じゃあ、ボクはシンバルを叩く!」
シンバル…!? 思わず、頭の中にシンバルの音が響きました。
「シンバルなら、一発で助けてもらえるかもしれないね…
側にあればの話だけどね…。」
子どもっていうのは本当に、はかり知れないものですね。
地震のさ中、2歳になったばかりのマペ次郎は、
テレビで枝野官房長官がニュースに出る度に、なぜか強く反応し、
持っている食べ物を枝野さんに、食べさせようとしていたのでした。
最初、大好きなイチゴをテレビに映る枝野さんの口に押しつけているのを見て、
(これは、イチゴを食べさせようとしているのかしら…?)
と不思議に思ったのですが。
2度目の会見に現れた枝野さんに、
今度はせんべいを食べさせようとしているマペ次郎を見て、聞いてみました。
「マペちゃん、枝野さんがどうかしたの?」
そう声をかけると、マペ次郎は振り向いて言いました。
「えだのしゃん…イチゴ!」と。
「マ、マペちゃん、枝野さんは、イチゴが大好きなわけではないと思うよ…。
いや?そういえば枝野さん、顔色が悪いね…。
イチゴを食べた方がいいぐらいに、ね…」
その後も会見に現れる度に「えだのしゃん!」と2才児に呼ばれる枝野さん。
まだテレビで3回ぐらいしか見ていないのに、我が子は我が国の官房長官に、
一体何を訴えようとしているのでしょうか…。
「えだのしゃん、イチゴ!」…ってやはり、
「食べなきゃ力が出ないよ!」と、訴えているのでしょうか?
……どんな時にも、食べていればどうにかなる。
これは、私が実家で育った時に得た、教訓です。
私が中学の時に東北を襲った台風19号により、停電が起こった時のこと。
私の母はすごい勢いで、「まずは、飯だ!」と叫んだのでした。
そしてそのままの勢いで、豚汁を作って家族に食べさせていました。
どんな時でも、食べれば力が湧いてくる。
どんな時でも、食べることを忘れなければ、絶望することはない。
それが希望というものなのかもしれません。
食べれば必ず力が湧いてくるのだから。
だから、皆さん。がんばっていきましょうね。
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