無意味せんげん - 山田スイッチ –
山田スイッチは、一切意味を求めません。ちなみに7歳男子と3歳男子を田舎で子育て日記。
2013/09/02 カテゴリー: うちのバッチャ。 タグ: うちバッチャボケ一瞬 [うちのバッチャ] 09. 一瞬、ボケました はコメントを受け付けていません
09. 一瞬、ボケました
 
晩ご飯の支度を週に3回しかやらない、不良主婦の私です。残りの週4回の晩飯は一体、どうなっているのかというと。毎晩バッチャの作る手作りの煮物とか魚とか、時にはトンカツなんかをウマウマと食べているんですね。
バッチャは御年80歳になるというのに、未だに現役主婦なのです。
それというのも、私が結婚する前に「結婚についてのアドバイス」をくれた御年60歳の先生が、こう言ったわけですよ。
「いい? スイッチさん。お嫁に行ったら絶対、『晩ご飯はアタシが作ります』なんて、言っちゃダメよ。いい?言ったらその先ずっと、晩ご飯を作り続けなきゃいけないのよ?言わなきゃ、作らなくてもいいんですもの。それに、女は台所を取られちゃおしまいなのよ。すぐにやることがなくなってお宅のおばあちゃん、ボケて死んでしまうわよ」
「そうなんですか!」
「お宅のおばあちゃんはずっと、主婦をやって来られたんですもの。そうよ!」
そうか……!
 
バッチャはケンさんのお母さんが会社勤めをしていたので、嫁が来たときに主婦を引退せずに、ずっと現役を続けておりました。なので、料理の腕が鈍るということもなく、ケンさんが育ち盛りだったこともあって、何故か私が遊びに行くと、お年寄りが作るとは思えないような「ビフテキ」とか、「トンカツ」とかを出してくれていたのでした。
「何故、ビフテキ……?」と驚いたのですが、バッチャの買ってくれる肉は脂が乗っていて美味しいのです。
バッチャが未だに現役で続けていることは無数にあります。朝晩のご飯支度、植木の手入れ、ひ孫と遊ぶことと畑仕事、漬け物作り、裁縫、そして雪かき……。
80歳まで現役で続けていたら、確かにボケる暇がなさそうですね。
 
同じ一日をほとんど、「新聞を読むか寝るか」で過ごしているうちのジッチャは。私が嫁に来る前に一瞬、ボケましたから。
ジッチャがボケずに済んでいるのは、ひとえに私のおかげなのです。
突然、せわしない嫁が乱入するようにやって来て、ブラジルに行くだのメキシコに行くだの言い出して、孫のケンさんを連れて海外にサンマを売りに行き、帰ってきたら今度は妊娠していて、10ヶ月後にジッチャのひ孫を産み落としたので。ジッチャは今、ひ孫が可愛くて、ボケてる暇がないのです。
 
この嫁は……大人しくしていると思えばうっかり、居間からボヤを出してしまったり。事故に遭ったりしているので。そういった死の恐怖と隣り合わせにされると、ひょっとすると。長く生きたおじいちゃんであっても、生きてることを実感できるのではないでしょうか。
「生きていてよかった……!」
こう思えるのは、やはり、死に直面した時に感じるものなんじゃないかと。
それはさておき、最近我が家ではめっきりビフテキを食べる機会がなくなりました。どうやら嫁入り前のあのごちそうは、バッチャが私を嫁にするための、エサだったみたいなのです。
 
 
 
 

青森県の最強バッチャが繰り広げる、愉快で楽しい村のお年寄り情報満載エッセイ集!   

これを読んだら即・元気!!

『うちのバッチャ』
 
山田スイッチ 著
山田スイッチ社 刊
¥1,000
 
お買い求めはこちらから!