パソコンの整理をしていたら、すごくバカバカしい記事が出てきたので
暇なお方だけ読んでください…。
こんなにバカバカしいのも、なかなかないです。
それで、読んでみて思い出したのですが、
一時期私は「心細いキャラ」を全面に押し出して売っていこうかと
真剣に考えていた時期がありまして。
口癖が、「わー、心細ーい!」だったことが
このコラムを通してわかります。
しかも出だしから察するに、続き物でラジオ番組か何かに使ったネタだった模様。
今思うと不思議でしょうがないです…。
シーチキン・キャンドル
山田スイッチ
先週のマヨナーズ(マヨネーズよりも遙かにうまいタレ)に引き続き、
今週は、「シーチキン・キャンドルで一山当てよう!」のコーナーです!
わー心細ーい!!
どうもうちの家族には、一山当てるのが普通というヤマッ気の強い人が多いらしく。
私がミステリーハンターになろうとしていた時、姉は文豪になると言い、
妹は北海道のガラス職人になると言い切っていた。
そして何年かに一度はうちの父が言い出す新しい何屋をやるかで、家族一同が「無理無理無理無理!」と叫ぶのが恒例の家だった。
人は、誰しもが何かの天才であると思うのだが、自分が何の天才か、気付いている人は全体の2%くらいだと思っている。
とりあえず父に蕎麦屋の才覚はない。
しかし、店を始めてから商品を開発しようという私の父の、「型から入る派」に比べ、
商品が完成してからじゃないと不安で店なんか開けねーよ!という、
「内から責める派」の私は、どちらかというと堅実な娘だった。
しかし、「どこどこのエジソン」と呼ばれる人特有の、商品開発に明け暮れる
「これって何かに使えるんじゃないか?」という気持ちは人一倍であったため、
小学生の時既に、シーチキンの油を流しに捨てるとき、
「これ(シーチキン油)って、ひょっとして何かに使えるんじゃないか!?」
と考え込む子どもだった。・・・例えば、飲むとか?
そんな時に思いついたシーチキン油(ゆ)を使った商品というのが、
シーチキン・キャンドルなのである。
シーチキンとキャンドルの間には、深くて長い河がある。
それくらいシーチキン・キャンドルは夢と現実の間に存在しそうな代物だった。
油というからには、それには多分火をつけることが可能だと考えた小学4年生の私は、シーチキンの缶にマッチの火を放ってみた。
しかし、意外なことに火は油の中で消えてしまった。そこで、私はキャンドル方面からの開発を試みた。
そう。ロウソクには火をつけるヒモ部分。芯が必要なのである。開発から三時間。
既に部屋には夕闇が迫っていた。こより状にしたティッシュを油に浸し、火を付けると、シーチキンの缶から、赤々とした灯がともった。シーチキンの油は、キャンドルになったのである。
うっとりと灯りを見つめていると、突然階下から母が上がってきて言った。
「何やッてんのアンタ!? 部屋、すんごく魚臭いわよ!? 」
見ると、畳の上にシーチキンの缶が置いてあり、その缶から火が出てるのである。
絶句した母は、黙って窓を開けると、階下へ降りていってしまった。火を消そうとしたが、消し方がわからなかった…。部屋は取り返しがつかぬほど臭くなっていた。
その日を境に私は、シーチキン油は捨てることにした。大人の階段を一つ、登ってしまったのである。