アートという言葉でくくるのはあんまりにも
ださい気がする最近だけど、
アート以外に例える言葉がないのでしょうがない
真のアーティストは、孤独であると思うのだ。
4~5年前に、
アラーキーの写真展で観た「ピンクのコート」は凄かった。
「ピンクのコート」は、
別になんの芸術性も感じられない普通の「ピンクのコート」
だったのだけども、
透明なカプセルに入ったその「ピンクのコート」は、
こわいくらいの思い入れとか、
そういった、感情が込められていて
そのコートを飾った理由なんて一つも聞かなかったけど
そのコートから、あまりにも切ない苦しい空気が押し寄せてきて
涙が出た。
昔のアラーキーの写真集を観ると
カメラを覗き込むレンズが
もうこの世にはいない奥さんの影を探している。
陽子がいない
陽子がいない
明日、どんな幸福が訪れようと、
陽子がいない
魂からにじんでくる膨大な悲しみ
世界にたった一人で
笑っていても、陽子がいなくて、ひとりぽっちで。
そういう時、
世界は身体に押し寄せてくる。
自分対世界が
1:1になったとき、
世界は自分の目の前に押し寄せてくる。
莫大な孤独に押し寄せてくる
身体の中に、こわいくらいに入り込んでくる
自分の余裕がなくなっていく
大きな世界が身体に入り込んでくるのだ。
「感じきれぬ」と拒んでも
有無を言わさず世界は自分に押し寄せる
その時押されるシャッターが
純粋な、1:1の世界を映し出すのだ。
世界対自分が同じ量で拡がっていく。
世界は私と1:1なのだ。
人に振られた後に見た、弘前の夜桜が一番美しかった
何度見ても、あの時見た夜桜よりも美しい桜は見たことがない
絶対的な孤独 そういうものを私はやっぱり
求めている
恐ろしいほどの孤独
世界をただ静かに見つめられたなら。
その時多分、
小説が書ける。