エコハンター第16回 「三五八漬けから異臭が」
漬け物のおいしい季節ですね。
昨年、漬け物に目覚めた私は、麹を使った「三五八」という漬物床にチャレンジしました。
三五八というのは塩:3、麹:5、米:8の割合でつくられる漬物床のことです。
使い方はぬか床のように野菜を適当な大きさに切って漬け込むだけ…
しかし、いつものようにタッパーを開けてみると、
その日はシンナーの匂いがしたのでびっくりしました。
漬け物からシンナーの匂いが…!
油断して野菜を何日もつけたまま放置したのがいけなかったようです。
この立ちこめる臭いをどうしたらよいのか知らない私は、真っ白に燃え尽きてしまいました…
しかし、燃え尽きてばかりもいられないので、
三五八の味を取り戻すべく、情報を集めてみました。
調べてみると、三五八には主に
酵母、乳酸菌、産膜酵母、酪酸菌という菌たちがいるのだとわかりました。
酵母と乳酸菌は漬物の旨みや酸味を作り、これが漬け床の基本になります。
臭いを出すのは残りの産膜酵母と酪酸菌で、
菌のバランスが取れているときは問題はないのですが、
増えすぎると今回のように不快な臭いが充満するそうです。
産膜酵母がシンナー系、酪酸菌は蒸れた靴下の臭いと例えられています。(恐ろしいですね)
私の三五八は産膜酵母が増えすぎてしまったようです。
産膜酵母の匂いは強烈ですが、食べても害はないとのこと。
しかし、シンナー臭を嗅ぎながら漬け物を食べるのもなんなので、対応策を練ることにしました。
この菌たちにはそれぞれ特性があるのですが、
大きく分けると酸素がが好きな「好気性細菌」と酸素が嫌いな「嫌気性細菌」、
酸素があってもなくても大丈夫な「通性嫌気性菌」の3種類にわかれます。
産膜酵母が好気性菌、酪酸菌が嫌気性菌、乳酸菌と酵母は通性嫌気性菌です。
漬物床を手入れをしてかき混ぜることは、
旨味をつくる乳酸菌と酵母に新鮮な空気が行き渡るようにし、
表面にいる産膜酵母と底にいる酪酸菌をそれぞれ
ひっくり返すことでバランスを整えていくことなんですね。
このシンナーの匂いのする漬け物床は元に戻るのでしょうか…。
今は新しい三五八の素を追加して、菌のバランスが落ち着くまで静かに待つしかない私でした。