28. 冬の仕事
とうとうお坊さんが走り出すほど忙しい12月に入りました。12月に入ると、うちのバッチャは暦を睨みながらこう言うんですね。
「そろそろ、クリスマス・ツリーこと出さねばなあ……」
と。12月に入ってからは毎日のように「そろそろ、出さねばなあ……」を繰り返すバッチャ。ツリーを出す日は真剣勝負です。そして今日、孫たちが保育園に出かけた後、バッチャが決意して言いました。
「2階の押し入れからクリスマス・ツリー出してきへ! あれんど(孫たち)がいねえ間に出さねば、ムチャクチャにされてまうはんでの!」
「ハ、ハイ。わかりました!」
わが家には小さい子どもがいるので、電飾の付いたツリーのように面白いものを出したら、子どもが突進してグチャグチャにするのは目に見えています。
とくに、飾りのサンタ人形や玉などが取り外せることが知れたら、何をされるかわかりません。
ばれないうちに完成形のツリーを出して、ツリーは危ないから離れて見てなさいということを教えなければいけません。
こんな風に普段から子どもを中心に家が回っているので、うちでは子どもが便秘なんぞをすると、騒然とします。毎日出ていたうんこが、1日出なかっただけでも異変を感じ、バッチャに相談してしまう私……。
「マペ次郎(次男坊)のうんこ、出なかったんですよ~」
バッチャが答えます。
「おんろ~まあ、明日になれば、出るかさもしれねし」
これが翌朝にでなっても出ないとなると、家族の関心事はみな、マペ次郎のうんこになってしまいます。
ジッチャが寂しそうな目をして言います。
「マペ次郎のうんこ、出ねなー……」
バッチャも言います。
「うんこ一体、どうしたんだべなー……。」
それまで1日1回、必ず出ていたうんこです。何故、2日も出なくなる? 3日経ってもうんこが出ずに不安に襲われた我々ですが、4日目の朝に、地獄絵巻のようなうんこに遭遇してしまいました。
どうやらマペ次郎は3日間、うんこを溜めていたようなのです。私たちが次男坊のうんこに気を取られ、気が付かぬうちにわが家の長男も便秘をしていたのか。トイレから出てきた長男は、やたらとスッキリした顔をしてこう言いました。
「にんげんにはできないことできた!」
に、人間にはできないことを……?
「い、一体何ができたの?」
「うんこ、1メートル出た!」
おめでとう……! 子ども達のうんこが出ただけで、めでたさがわが家に戻ってきました。
「いい子にしてれば、サンタのおじさんが師匠の欲しいオモチャ持って来てけるはんで、いい子にしてるんだよー!」
バッチャが言います。このサンタのおじさんはプレゼントをくれた後、お正月の頃に何故か、ナマハゲのような存在に変わってしまいます。
「悪い子にしてればっきゃ、サンタのおじさん来て、オモチャぜ~んぶ、持って行ってまうんだはんで!」
サンタのおじさんの豹変ぶりに驚くわが子たち……。バッチャは、クリスマスを本当に楽しんでいるのです。
後日、改めてうちのバッチャに聞いてみました。
「おばあちゃんは、なんでそんなに元気なんですかね?」
「う~ん。今日やることしか、考えてねえはんででねえべか? アレやらねばマネ、コレやらねばマネってしか、考えてないノヨ」
なるほど。この瞬間、瞬間を生きている人は、案外と何も考えていないのかもしれません。
わが家の庭に建てた竪穴式住居も、はや3度目の冬を迎えます。
拾った銀杏を食料として備蓄していたら、いつの間にか発芽して、小さな銀杏の木が住居の中央に根付いてしまいました。
このまま育てていっそのこと、ツリーハウスにでもしてしまおうかと今、考えているのです。
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久作さん
わあ! ありがとうございます。
(^-^)pすごく嬉しいです!
すいっち