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世界は物理的な現象によって色を変えているのではない

「高校合格おめでとう。今、喜びに満ち溢れ、春色の世界を歩いている皆さん、その世界は「合格」という事象によって起こっているのではありません。その世界の色は、あなたの心が決めている色なのです。……」



「高校合格のおめでとうメッセージ」



という、2006年3月3日に東奥日報紙に掲載された記事が掃除をしてたら出てきたんだドグ。これがまた、10年前の記事なのに今思っていることとたいして変わらなくて、びっくりしたんだドグ~!



うわあ、こんなこと10年前に

考えていたんだドグなあ

……なるほどなあ。



「世界は物理的な現象によって色を変えているのではなく、人の心によって、何色にでも変わるのです。今からさかのぼること○年前、ドグ子、十五の春。高校合格、おめでとう。たくさんの人にこう言われました。が、私の合格した高校は、とても長い坂を登り切った、山の入り口にありました。



自宅から自転車で片道およそ一時間。徒歩なら片道三時間。上り坂ドグ。上り坂だよ、人生は……





ということで、その当時ドグ子は毎朝一時間の自転車こぎで酸欠になり、授業が一切身に入らず、周りに気の合う人もおらず、女子高生なのに不幸……女子不幸生だったことを語りだすんだドグ。

お祝いのメッセージなのに、いやな奴ドグ。(笑)



「女子不幸生の毎日は入学一か月にはすでに灰色に変わっていたのですが、半年後、割り切りました。そうです。
人生で大切なものは、『割り切り』なのです。」



そして私は、自分の気の合うオタクばかりが集まった部活、放送部の活動に心血を注いだんだドグ~! 部で、ドラマの脚本とかも書いて、演じて、効果音とか入れて。NHK大会や高総文に出していたんだドグ☆



10年前に書いた文章が、今は書けるかどうかわからないドグ

。でも、その時その時に、「全部出し切っていこう」と思っていたから、今までやってこれたんだと思うドグ~。(*´Д`)



「部活の仲間よ、ありがとう。

それはまるで真っ暗な世界から花びらが浮かび上がるようでした。私の世界に赤い花が、ぽこりぽこりと咲いていったのです。とても小さい世界でしたが、花は少しずつ、咲き誇っていきました。

世界は自分次第で何色にでも変わる。何が起こっても、ぽこりぽこりと。皆さんの世界に美しい花を咲かせてくださいね。」




東奥日報紙 2006年3月3日掲載

 

世界をつくるということ

昨日、青森県立美術館で開かれた国際パフォーマンス・スタディーズ学会2015東北大会
『けがれを超えて パフォーマンスと東北(身体・霊性・巡礼)』があり、パフォーマンスを観てきた。
 
点滅、工藤丈輝、雪 雄子の3人の舞踏家が踊った。
激しく、模索するような力強い踊りを踊る若い舞踏家の後で雪さんが踊られたから、
いかに、雪さんの舞踏がうまいかがわかってしまった。
 
点滅さんも、工藤さんも、相当な鍛錬をしていて、すごくうまかったし、自分の身体を使って、本当に全力で、探っていた。
この世の仕組みや、向こう側の世界や、身体の成り立ちというものを。
人から、人でないものになるということや体一つで、
どこまで探ることができるかということを、やっておられたと思う。
 
だけど、雪さんの舞踏は、その探して探して、身体をめちゃくちゃに傷めつけた後にたどり着いた……心やすらぐ世界だった。
8月の蝉の残響、蝉の魂のように透明な雪さんがそこにいた。
 
胎児のような、蝉の幼虫のような。そのようにあるだけで、全てを表現できる人はめったに現れない。
指先が空気中の分子を震わすように細かく、見えないくらい細かく震えている。
八分の一ではなく、十六分の一でもなく、128分の1くらいの細かな震えが、
ライトを受けて美しくその空間を作っている。
 
舞踏は、立ち上がる時が一番難しい。
 
そこに、どれぐらいの年月をかけてこられたのかがわかるような、
すっと、赤ん坊が初めて立つ時に見せたような仕草で立つまでの動作が、まるで一本の映画を観ているようだった。
 
重なっていく音楽、生まれる前の世界の穴から響いてくる太鼓の音と、
蝉の声、様々な音が混じりあい、世界が混じりあい、創りだした一つの場所へと導かれていく。
 西洋の歌声が響く中、スーッと生まれて、立つまでの間を観ているだけで、生と死の間にあるような。
そこは、神さまの庭のように静かで、とても静かで、静かな愛に満ちている。
 
そんな世界の存在を感じさせる舞踏。
 
こんなものを、踊れる人を私は他に知らない。
 
暗転とともに、おかっぱ頭の少女姿になった雪さんが現れた。曲は、土方巽が疱瘡譚で使っていたあの曲だ。
 少女は、ただ、少女のままそこに在る。
 赤い下駄が嬉しくて、履いては脱いで、しゃがんだまま頭上に掲げて、踊っている。
 
 
観ている人たちから、何故かホロホロと涙がこぼれているのがわかった。
何故、懐かしいと感じるのか。
 
 舞踏は、踊り手の感じている世界がそのままに伝わるから、その人が宇宙を感じていれば、
宇宙が感じられるし、その人が小さな頃の世界にいれば、
観ている私達までもその幼少期に連れて行かれるのである。小さくも、柔らかい、神さまの庭のような世界。
 
小さな女の子が赤い下駄を履いて、自由にこころが空までも駆けていくのを感じる。
女の子がすもうを取った時に、会場からは笑いがこぼれた。
 
 舞踏で、人を笑わせることができるのは、雪 雄子の天性の才能なのではないだろうか。
本気の舞踏の人ほど、厳しいものを見せようとするし、雪さんもかつてはそうであったのだろう。
だけど、それを超えた場所では、ただひたすらに安らぎに満ちた、懐かしい場所で踊る雪 雄子がいて、
まるで光の世界に溶けていきそうに
 
見えたのだ。  (山田スイッチ)
 
 
 
 
※9月13日(日) 午後二時(開場午後一時半)より、
鳴海要記念陶房館にて、雪 雄子さんの舞踏と神楽太鼓奏者の
石坂亥士さんによる舞台『響 軌跡』があります。
チケット(要予約) 2500円
ご興味のある方はぜひ、足をお運び下さい。
 
 
 鳴海要記念陶房館 弘前市賀田大浦1-2(旧岩木町) 
 電話 0172822902 
 
 

ダーリンはブッダ 第2回「仏教部」

イラスト/ナカエカナコ
 
ダーリンはブッダ 第2回「仏教部」
 
 私はその日、初めて冴馬のいる仏教部の部室を開けた。元が廃部になった写真部の部室だけあって、暗幕があちこちに張ってあり、暗い。しかも広さが8畳ぐらいしかないのに真ん中には理科室の大きなテーブルが置かれていた。
「それじゃ、部活始めようか。」
 そう言うと冴馬は黙って隅っこの方に行き、自然にあぐらをかいて座ると目を閉じて、瞑想に入ってしまった。
「ちょちょ、ちょっと! これが部活? これ、部活動なの?」
 冴馬は黙ったまま目を閉じて動かない。
「これって……か、活動して……ないんじゃない?」
 すると赤鬼のタカハシがドアを力いっぱい開けて入ってきて言った。
「女はギャーギャーうるさいのう」
「タ、タカハシ君。そういえばあなたも、仏教部なんだっけ……」
 タカハシは私を無視して言った。
「冴馬、うちの部活ってよ、瞑想の大会とかねえんだろ? 誰と争ってテッペン取ればいいんだよ? 寺とか襲ってテッペン取ればいいのかよ?」
 なんて物騒な発言を……。すると冴馬が瞑想状態からふっと笑みをこぼして言った。笑顔がまぶしすぎる。冴馬の笑顔には一切の邪気がない。
「争うのは、自分自身かな?」
 私は驚愕のまなざしで冴馬を見た。
(争うのはじぶんじしん……?)
 
「いや、訳わっかんね−! もっと俺にもわかるようにもの言えや! バーカ!」
 私は心の中でつぶやいた。お願い、私にもわかるような言葉で言って……。
「うーん、ええとね。人が、なんで苦しむかっていうと、自分があるからなんだよね。何故だか物心ついた頃から自分という存在があるように思っているでしょう? みんな。だから、自分が関わる全てのことに傷ついたり振り回されたりするんだよ。瞑想は、その自分というものを無くしていく行為なんだ。自分を無くしてしまわないと、この世界があらゆるエネルギーに満ちていていることに気づけない。悪いエネルギーを作り出すことすらしてしまう。自分がバイアスになるからね。瞑想はそのバイアスをなくして、世界をただあるがままに受け取る行為なんだ。どう? やってみない?」
(やっぱり訳がわからないわ……)
 不安に思っている私に気づいてか、冴馬は黙って立ち上がるとそばに寄って、私の肩に手を置いた。
「ええっ、ちょ、ちょっと!」
 冴馬の狂おしいような匂いが我慢できないぐらいに近づいて、私は息できなくなった。
「……ここに、足を楽にして座って、へその下三寸にある丹田に意識を集中させるんだ。そして、口から細く、糸を吐くように息を吐いて、鼻から吸う。口から細く息を吐いて、鼻から吸う。これを繰り返していれば、誰でも瞑想状態に入れるよ。」
 冴馬に肩を押されて座らされ、あぐらをかく格好になった私は、今……今世紀最大のひどい見た目になっていた。女子高生があぐらをかいて、大仏みたいに座るだなんて! 黙っていても顔が悲しみで般若のように歪んでしまう……。
「おい、おまえ大丈夫か? けっこうひどいぞ、顔。」
「う……うるさい。わかってるわよ、そんなの!」
「ところでよう、このままだとこの部、なくなるんだろう? 月末までに人入ってこないとよう」
 タカハシがポテトチップスの袋を開けてザーッと口の中に放り込み、モシャモシャとかみ砕きながら言った。狭い部室にポテトチップスの油の匂いが充満する。
「そうだね。」
「ええっ、なくなるの?」
「今月末までに5人の部員がそろわなかった場合、この部室は、おてもと研究会に明け渡すことになってる」
「おてもと研究会!?」
「何でも、箸袋を集める研究会だそうだよ」
「おいおい、そんな部活に取って替わられるのかよ?」
「今、おてもと研究会は4人集まっているらしい。今月末までにその人数を超えないとうちは部室を失うわけだけど、大丈夫だよ。雨の日は校庭の銀杏の木の下で瞑想すればいいだけの話だから。」
(そんなの、絶対にイヤ……!)
 
 それから冴馬は仏教部の看板の横に「新入部員募集」の張り紙を出したのだが、なんだかその張り紙が加わったせいでより一層仏教部の怪しさが増し、とほほな気分になった。
「ちょっとヒカルー! あんた仏教部に入ったって噂だけど、本当なの?」
 夏樹が来て言った。
「いや、入ってない……」 
 とっさに嘘をついてしまう。
「あそこの部室にあんたそっくりな人が入っていくのを見たって子がいるんだけどさ、絶対やめといた方がいいよ! 人生台無しになるよ!」
(そこまで、言う!?)
 
 冴馬は教室の一番後ろの席で、瞑想している……。誰も冴馬の匂いを嗅いで狂いたくないのか、基本的に休み時間になると半径5メートル以内に人は近づかない。授業が始まるとやむなく周りに座るが、周りにいる全員が泣きながら身もだえているのは、やっぱり冴馬の匂いが特別なせいなんだろう。
 授業中も瞑想し続けている冴馬に近づいて注意しようとした英語の堀江先生は、ハイヒールでツカツカと近づくと2メートル圏内に入った途端、急に泣き出して1メートル圏内に入って今度は逆方向に走り出し、叫びながら自宅に帰ってしまった。しかもそのまま教師を辞めてしまったので、先生方とはいえ鼻をつままずに冴馬に近づく人間はいなくなった。冴馬の匂いを嗅ぐと、切ないのと懐かしいのが入り交じって入ってくる。そして、忘れていた過去の小さな思い出を、急に思い出すのだ。
 
 休み時間があと2分で終わるという頃、冴馬はカッと目を見開いて立ち上がった。そして、クラスで休み時間はいつも突っ伏して寝たふりをしている、拒食症の細江咲子……通称・ガリ子の前まで進んで行き目の前で微笑むと、こう言った。
「細江さん……仏教部に入りませんか?」
 と。私は目を皿にして驚いた。
(部員って、誰でもいいの? 私に声をかけてくれたのは、私が特別だったんじゃなかったの? よりによって、なんでガリ子なの?)
 言われた瞬間にガリ子は貧血で倒れて保健委員に連れていかれた。クラスが騒然となっている。ガリ子はよく倒れるけど、あんなガリガリじゃ鉄分だってなんだって不足しているんだろう。
 ガリ子は昼休みにはお弁当を広げているけど、食べてる姿は見たことがない。ただ広げているだけ。足はかわいそうなほど細い。飢餓に苦しんでる国の子供の細さレベルだ。体重が30キロしかないって噂だけど、本当のことかもしれない。骨しかない足をまるで自慢するかのように、短くした制服の裾から見せている。そんなガリ子の存在をいつしか私たちは無視することで心の平安を保ってきた。ガリ子を見るのはつらいのだ。
 それにガリ子には愛想がない。髪は茶髪のストレートでギャル風に見えるのに、いつも突っ伏して一日が終わるのを待っている。ヤバイ……あたし、嫉妬している。さっきからずっと、胸が痛い。ガリ子なんていなくなれって思ってる。あたし、昨日までこんなんじゃなかったのに……。
 
 放課後、保健室に行くとガリ子はまだベッドで寝ていた。
「あのさあ、私、真光っていうの。細江さん、同じクラスだけど話すの初めてだよね。」
「真さん……なら、私知ってる。あなた、クラスの中じゃ意地悪な目で私を見ないから。」
「そうかな……けっこう私、意地が悪いみたいだよ?」
「ううん。あなたの視線は、困っているの。なんか、私をどうにかしようとして、どうにもならないのを知っている目。私、どうにもならないの。実は私……拒食症なの」
(そんなの見ればわかるって……)
「なんか、カロリーのあるものを見ると吐き気がするの……キュウリとリンゴ以外は食べられないの。カロリーのあるものは野菜ジュースか、豆乳ぐらいしか飲めないの。カルシウムが足りなくてすぐ骨折するし、生理はずっと止まってるからこのままじゃダメだってわかってるんだけど……。なんか、本当に栄養があるものがこわいのよ。」
「こわいって、何で?」
「ふとるから。」
 
 それは、太った方がいいんじゃないかなあと私は思った。だって、今言った症状って、やせているから起こってる症状なわけで。栄養があるものを食べれば問題なくなるじゃない? あるのに食べないっていうのは、ただの、わがままなんじゃないかなあ……。
 そう思ってたところに冴馬が突然、現れた。
「真さんも、来てくれてたんだ。」
「さ……冴馬!」
「真さんもガリ子さんのこと、気になっていたんでしょう? 僕も転入してから、一番気になる人だと思っていたんだ。でも、何故気になるのかはわからなかった。だけど、部活に危機が訪れてわかったんだ。気になるってことは、友達になりたいからなんだって……」
 
(ち、違うよ、こんなに痩せている人は珍しいし、世の中にはそういないからよ!)
ガリ子は驚いて上体を起こし、よろめいた。
「剛玉君、よね……私、私なんかが部活って、できるのかしら? 走るとけっこうな確率で骨折しちゃうから、体育はいつもお休みさせてもらってるし、通学はママのお迎えがないとやっていけないし、カロリーの高い食べ物見ると、吐いちゃうかもしれないのよ」
「大丈夫。座禅するだけの簡単な部活だから」
「って、冴馬! キャッチセールスみたいに誘うもんじゃないわよ! それにガリ子はあだ名であって、本名じゃないのよ! 本人の前で呼んじゃダメ!」
「あ、そうなんだ。」
「………。」
「………そ、そういえば、細江さんって冴馬の匂い……大丈夫なの? みんな、マスクなしで冴馬の匂いを嗅ぐと倒れちゃうんだけど」
「あ、それなら私、もう匂いとか感じなくなってきているから大丈夫。やっぱり体力ないから感染症にかかりやすくって、いつも鼻が詰まってるの」
「そういえばタカハシ君も蓄膿症だって言ってたよ。仲間だね。」
冴馬が言った。
(鼻が悪ければ問題ないんだ……)
 
 私は、自分の鼻の良さを少し呪った。自分だけ、こんなに冴馬が好きだなんて……損をしている気分になる……冴馬は私のことなんか、ほんの少しも思ってないのに……。
「ガリ子さん、君は仏教の素質があると思うよ。インドでは苦しい修行に耐えて断食をして、生きたまま結跏趺坐して死んでいった高僧もいるし、シッタールダだって最初は苦行をしたんだ。シッタールダはその後にゆき過ぎた修行を禁じたけど、苦行が無駄だと知る上では、やる価値はあったと思うんだ。断食ができれば食糧難になっても生き抜くことができるし」
「あ、ありがとう……。だけど私、点滴がないと死んじゃうかも。点滴されると太るからイヤなんだけど、お医者さんが点滴打たなきゃ死ぬっていうの。ほら……」
 ブラウスの袖をめくったガリ子の腕には、痛々しい点滴の後が赤紫色になって浮かんでいた。たくさん、点滴の跡がある。どうして、こんなにまでしてガリ子は食べないんだろう? それに、その痛々しい腕を見せるガリ子が、なんだか得意げに見えてしまう。私の半分の細さしかない可哀相な腕……。すると、冴馬が言った。
「ガリ子さんの体重って、何キロぐらい?」
「……28キロ」
(28キロ……!? そんなで、生きていられるの……?)
「君はね、本当はもう死んでいてもおかしくないぐらい痩せているんだ。だけど、生きている。どうしてだかわかる?」
 
 ガリ子は驚いて、目を丸くして言った。
「そんなの……わからないわ。」
「……それはね、君の生命エネルギーが、半端なくあるからだよ。もう死んでいてもおかしくない肉体を動かすだけの生命力があるんだ。クラスの中では誰よりも生きる力に満ちて、君の細胞は必死に死との闘いに明け暮れている。君が食べなくても君の身体は生きようとしている。緑色の鼻水は、闘って死んだ白血球の死骸だよ。」
「私……闘っているのね。」
「そう、闘っているんだ。」 
 ガリ子は、何故だか目に涙を浮かべて言った。
「……私、死んでいく自分が好きなの。細くて、美しいから。だけど、死にたくないの。生きていたいの。脂肪がないから、夏でも指先が寒くてシモヤケになっちゃうんだけど、その震える自分の指が好きなの。だから、それをずっと見ていたい……。」
 ぽたっと、ガリ子の目から涙がこぼれた。
 
(ああ、この子は、死にたいんじゃなくて、生きたいんだなあ……って思った。
 
 私は、クラスの中じゃ浮かないようにいつでも昨日のテレビの話題を声高に話しているけれど、こういう話を友達としたことって、なかった気がする。
 浮くのが恐かったから。
 夏樹もずっと一緒にいたけど、一番好きなものについてとか、死にたいと思ったことや生きたいと思ったことなんて、話さなかった。話して嫌われるのが恐かった。私が、思ったことの全部を話せなくて寂しかったことを、夏樹は知っていただろうか。
 
 帰り道、ガリ子が迎えの車にヨタヨタと歩いてゆくのを、私は冴馬と一緒に見送った。にこやかに手を振る冴馬の手には、ガリ子の書いた入部届が握られている。……あの状況で、入部届を出して書かせるなんて、本当は冴馬って恐ろしい人なんじゃないかって思う。
 
 ただ、今日はガリ子のあのヨタヨタ歩きが、すごく一生懸命なものに見える。どうしてだろう……ほんの少しの時間しか、話さなかったのに。
(なんだか、鳥の雛みたい……)
 
 すると冴馬が、にこりと笑って言った。
「真さん、部室に戻って瞑想しようか?」
「め、瞑想するの? そういえば、ガリ子もう帰っちゃったけど、いいの?」
「彼女は体力的に、タイムアウトだったから。これ以上は起きてるのしんどいよ、きっと。」
 女性バスケ部の練習する声が遠くから響いている。野球部の白球をバットで打つ音。私たちは、まるでずっと昔から友達だったみたいに一緒に歩いて部室に向かった。廊下を歩く音がすとんすとんと私の中に入っていった。
 
(いつか、冴馬と、ガリ子と、タカハシと一緒に……学校裏の店の鯛焼きを食べたいな……。ガリ子にはまだ無理かもしれないけど、あそこの鯛焼きは薄皮がカリカリしていて、あんがいつでも最高なんだ。ガリ子もあんこ一粒なら、食べてくれるかもしれない。)
 そんなことを考えながら私は、冴馬の後ろ姿に揺れる黒髪をを見つめ、歩き続けた。
 
つづく
 
 

 

 

第二回 ヨークカルチャー エッセイ大会弘前☆

さて! 隔週木曜でイトーヨーカドー弘前の7階

ヨークカルチャーセンターでエッセイ講座をやっているスイッチですが、

今回、お題を「真実だと思っていること」にしたところ、

格段にみんなのエッセイが良くなりました!!

 

やっぱり、真実だと思っていることって

人それぞれ違って、それぞれ面白い!!

20分で書いてもらっているので、校正とかする時間ないのですが、

格段にうまくなってる。

 

今日はマロンさんと影太さんの「真実だと思っていること」をお届けしますね!

 

これが真実だと思っている事    マロン
 
 
努力は必要だ。しかし、意味のない考えのない努力はムダだ。
学生の頃 勉強がキライだった。
キライだから勉強しても入ってこない。
Xは?Yは?しらんがな。
家庭科は好きだった。美術も好きだった。
好きだから意味があった。うん。
いつまでも若々しくいたいと思う。
だからお肌の手入れはキチンとする。うん、マイナス5歳肌キープ。
運動は苦手だ。苦手な物は長くつづかない。
 
努力してもムダな事もある。
二のうでが太い。どうにもならん。
いとこに言ったら「工藤家のまぎだね」と言われた。
彼女は運動好きだ。ソフト部であった。
あんだけ運動してたらうでが細くなりそうだけど
「わもふりそでだね」
そうか。ダイエットしてもどうにもならない事も世の中にはあるんだな。
 
世の中 努力でどうにかなる事も ならないこともあるんだナ。
―――だって私 AKBにはなれないし、
  体重だって40kg前半にもなれないもの。
 
  でもでも同級生が次々とおばちゃん化するのを見ると
  お肌と脳内はピカピカにしておきたいなあ。
  出来る努力は必要かあ。
 

☆☆☆☆☆

 

これが真実だと思っている事    影太
 
悲しみの感情は ほんのささいな事で、笑いに変れる。
頭では悲しい 辛いって思っていても TVからあまりにも陽気な音楽が流れてきたり 家の外から近所のおばさんのクシャミが聞こえたりすると 気持ちはそっちに傾き悲しみをふと忘れてしまう。
 
笑ってはいけない場面に居れば居るほどその<けいこう>が強くなる。
普段なら全然 おもしろくも何とも無いのに悲しみや辛いときほど強く感じてしまう気が…
 
神妙に話を聞いている人は本当は何を思いながら聞いているのかな?
おそう式でも 当の家族以外は久しぶりに会った 知り合いや友達との会話を楽しんでいる。私もその一人です。悲しみ辛さは笑いと背中合わせ。
悲しみ辛さの中にある笑いを楽しみたいな。

 

 
☆☆☆☆☆
 
 
んん、なんか深い!!!!!!
 

ヨークカルチャーセンター弘前では、山田スイッチの思考法&エッセイ講座が

隔週木曜で開催されています。お茶の時間もあるので、気楽に遊びに来てくださいね☆

スイッチより(^ ^)

 

第一回 エッセイ大会 in ヨークカルチャーセンタ弘前

ヨークカルチャーセンター弘前の山田スイッチの「思考法&エッセイ講座」では、
生徒さんにエッセイを書いてもらっています。
みんなうまいんだけど、いつもエッセイ講座をやって思うのは、
エッセイよりもその人の方が面白いっていうこと。
 
お話をしている時点で、
こんなにも感受性があって、こんな風に感じていて
人って面白いなあ~って思うんだけど、
それがエッセイに出てくるのはもう少し、時間がかかるんだなあと思うのです。
 
いつか出てくると思うし、その人の持っている
すごいところや、面白いところを一緒に見つけて
だんだんとその、その人にしかないすごいものをエッセイにしていきたいと思っています。
 
生徒のマロンさんは実を言うと、イラストがすごくうまい。
そして影太さんはものすごっく、詩人の感性を持っているんだよね。
授業は2人に影響されて、とても面白いのです。今日はそんな二人のエッセイをご紹介します!
ちなみに、影太さんは女です。
 
 
こんぺいとう。実は?!「ステキなこんぺいとう」 マロン
 
この前何気なく本を読みながらこんぺいとうをかじっていた。
いちご味のこんぺいとう。
チョコレートまでかかっている。
ポリポリポリ…。
 
私はこんぺいとうが秘かに好きだ。
出来ればフレーバー付きのやつ。
これは大阪の友人が送ってくれた。
バレンタインに「チョコは真紀ちゃんくわしそうだから」と。
秘かにというのはわざわざ「私はこんぺいとうが好きだ!!」
なんてわざわざ公言しないし、毎日食べているわけでもない。
でもあるとうれしい。
そんなお菓子。
地味だけどステキだ。
 
皇族の引出菓子にも「ボンボニエール」(だっけ?)とか言うこんぺいとうが付くらしいし。
(ステキな入れ物に入っている)
こんぺいとうをかじりながら思った。
「なんて女の子っぽいお菓子だろう。こんぺい糖好きの男子ってあまりきかないな」
と同時に別のことも胸裏をよぎった。
 
「女の子っぽいとか思いつつ、実はガンコジジイがたんせいこめてつくってたりするんだよなあ」
───以前テレビで見た事がある。
熱いかまの前でこんぺいとうのツノを出すのにシロップを何度もかけてがんばっている職人さんを。
うん。すごいなあ。
 
ポリポリ。とりあえず目の前のこんぺい糖を食べながら、少女マンガをたんのうしよう。
 
食べているときはガンコジジイの事は忘れよう。
 
レースふりふりの洋服だってイカツイ顔の兄ちゃんが作っていても、だれもそこまで考えないし。
 
目の前の可愛い世界にとりあえずひたろう。
 
───ガンコジジイは別の時に思い出して感謝しよう。
 
だってバレンタインだってケーキだってうちの会社でも可愛いとは無縁のおじ様が仕上げているんだもの。
(企画するのは別だけどナ)
 
オマケ
───しかし「字」って書かないと忘れるなあ とほほ。
 
END
 
 
気になる林檎 影太
 
桜の次は「りんごの花」って事で、姉と一緒にりんご公園へ行った。
真近に見るりんごの花はさくらよりキレイなのでは?と思う位とても見ごたえがある。
 
坂道の上に美空ひばりの石碑があって「りんご追分け」が流れていました。
小高い丘の上に鳴りひびくひばりちゃんの歌声がとてもマッチしていて、なんだか胸がジンとしたのです。
その坂を下ると古民家があって、昔ながらのかや屋根に土間伝い居間に長い縁側、昔の農機具なんかもあって、ふと昔を思い出したと同時にそこに住んでいた情景が目にうかぶ様です。
 
その家には今でいうところの”ロフト”中2階があって部屋、部屋に誰の部屋だったか書かれていました。
主人の部屋、子供部屋、客室…ロフトには「若夫婦」の部屋と書かれていました。なんだかドキドキ…。
何段もない急な階段を登って「若夫婦」の秘密の部屋へ。
2人で十分な広さ。壁には「ねぶた絵」のポスター。
窓からのながめは良く、気はずかしくなる豆電気…。
 
豆電気の明かりって、期待が高まる気がしません?
ねぷた絵のように、ヤーヤードー、ラッセラーラッセラーってがんばったのかな?
今はヤッテマレーなんだろうな
 
 
END
 
 
(^O^) 二人とも、個性的でしょ? でもまだまだ堅い感じもするかな。
 
私の、エッセイを書く時にけっこうよく使う手は、
「ちょっと奥様、聞いた!?」戦法です。
エッセイって、誰に向かって書けばいいのかわからないところが
あるじゃないですか。
 
そこで、誰に向かうかをあらかじめ「奥様」に設定すると、
意外と書きやすいのです。
「ねえちょっと、聞いた?」っていう風に書いてみると
案外簡単に書けたりします。
 
うまい人のエッセイを読んでいると、脳みそっていうのは
色々な場所へ出入りが自由なんだなあ~と感じます。
皆さんもぜひ、エッセイにチャレンジしてみてください!